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2024.06.21 11:00

不確実性の時代にこそ求められる投資と、精神的豊かさを実現する投資の“価値”

世界経済が不安定化し、不確実性の時代に突入した今、私たちはどのようにファイナンシャルプランを立てればいいのか。渋沢栄一の玄孫でシブサワ・アンド・カンパニー代表取締役の渋澤健と有栖川アセットコンサルティング代表の鈴木子音が、投資の本質について語り合った。


鈴木子音(以下、鈴木):世界経済の不安定化に加え、世界中で現金の総量が増え、それに呼応するようにアートやワイン、暗号通貨など新たな価値を獲得するアセットクラスも増えています。安定したポートフォリオバランスを取ることの難易度が上がり、これが正解という投資方法を示すことが難しくなっています。ひと言でいえば、不確実性の時代に突入したと言えるでしょう。

渋澤健(以下、渋澤):日本の現状を見ると、明らかに新しい段階に入ってきました。かつて日本には人口ボーナスがあり、昭和時代はそれで成功しました。しかし、失われた30年を経て、人口ボーナス期を支えた団塊世代や団塊ジュニアが上のほうにスライドし、年齢構造がピラミッド型から逆ピラミッド型に変わりしまった。見たこともないスピードと規模で世代交代も始まっています。そうしたなかで注目すべきなのは、自分の子どもや次の世代への投資です。目先の株価の上下よりも、どうしたら資産価値を継続することができるかに焦点を当てるべきではないでしょうか。

渋澤 健 シブサワ・アンド・カンパニー代表取締役

渋澤 健 シブサワ・アンド・カンパニー代表取締役

子孫のために再生可能エネルギーに投資するアブダビの王族


最近、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに行ってその認識を再確認しました。十数年前に同国を訪れたときに太陽光発電のパネルをよく見かけました。原油や天然ガスが湧き出る国で再生エネルギーが必要なのだろうかと疑問に思うかもしれませんが、国を統治する王族たちが、いずれ資源が枯渇することを想定して、自分の子孫が持続的に豊かな生活を送れるよう、戦略的に先行投資を行っていたのです。今回の訪問では、その未来を見据えた投資の成果が見事に現れていました。

一方、日本は戦略的な投資ができておらず、未来からおカネを借りて目先の票集めのためにそれをばらまくということをずっと続けている。従って日本人は国家に戦略を頼ることができない。それぞれの世帯がアブダビの王族のように、どうしたら将来に豊かさを残すことができるかというマインドセットをもたなければなりません。不確実性が高まる世の中だからこそ、それが大事なのではないかと思うのです。

鈴木:不確実性の時代においては、知識や情報をキャッチアップすることももちろん大事ですが、価値の本質を踏まえたうえで、短期的な動向に左右されることなく長期的視点に立脚して投資することが重要だと考えます。

渋澤:おっしゃる通りです。投資は安い相場で買って高い相場で売ることだと思っている人が多いですが、それは投資ではなく投機です。投機が悪いわけではないですが、投資には自分がもっている価値があるものです。それと比べて取引の価格が安ければ買いで高ければ売りと考える。つまり、常に価値が何かを考えるのが投資なのです。

自分が大切に思っている価値が何なのかはおそらくひとりではわからないので、家族や友達などと話し合うべきです。そのベースをもっておくことが大事であり、それは株式でも不動産でも同じです。

鈴木:投資といえば、株などの金融商品を連想する方が多く、資産運用されている方のポートフォリオを見ても実際、株式が大半です。確かに金融商品には資産形成フェーズにおける爆発力がありますが、一方で持続力や築いた資産をどう守っていくかという観点に立つと、不動産に分があると思います。

不動産の特徴は、他者に貸すことによって定められた賃料(インカムゲイン)が毎月得られること。現物資産として将来的に他者に売った際の売却益(キャピタルゲイン)も見込めます。物件選定さえ見誤らなければ、価値がゼロになるリスクは最小限に抑えられると私たちは考えています。このような資産をポートフォリオに組み込むことで、資産防衛の安全性を高めることにもつながります。金融資産だけでなく現物資産にも目を向けることで、バランスの良いポートフォリオを組むことを推奨したいですね。

社会的インパクトと経済的リターンを両立する


渋澤:分散投資は投資の基本の「き」です。すべてが株式ではリスクが大きいので、債券や不動産、コモディティ(商品)などにも投資をする。この「面」の分散も大事ですが、もうひとつ重要なのは「時間軸」の分散です。時間軸の分散であれば、例えば積立投資のように、ひとつのアセットクラスでも分散することができます。

鈴木:株ももちろん時間軸のメリットを享受できますが、不動産も長期的・持続的投資という観点にマッチしたアセットクラスだと思います。

渋澤:そうですね。しかし、これから日本の人口が減り、東京でも空き家が増えていくことを考えると、どんな不動産を選択するかは非常に重要になってきますね。その不動産の利用価値によって投資価値は大きく変わりますから。例えば綺麗な建物でなくても大学のそばにあれば、学生寮としていい投資物件になるかもしれない。商業ビルであれば、テナントが入るのは集客できる物件ですからね。

鈴木:おっしゃる通りで、不動産投資においては物件価値の見極めが非常に大事です。そして、そのためにも、まずは投資によって何を実現したいかを考えるべきです。お客様のなかには、インカムゲインだけでなく、その物件が生み出す社会的インパクトを重視される方もいます。先に渋澤さんが言及された「自分が大切に思っている価値が何なのか」を明確にすることで投資物件も必然的に決まっていくのだと思います。

渋澤さんは、環境や社会にポジティブなインパクトを与える事業を投資行動によって支援する「インパクト投資」を推進されていますが、投資価値を重視するという意味では不動産投資と通じる部分があるのではないでしょうか。

渋澤:社会的インパクトと経済的リターンを両立できる企業に投資するインパクト投資がこの1年ほどで広まったのは、日本政府が主導している「新しい資本主義実現会議」にインパクト投資の表現を織り込まれたことが一因だと思います。

新しい資本主義は世間から誤解されていますが、資本主義の否定ではなくて、外部不経済の解決を資本主義に取り組むことが目的です。外部不経済とは、経済活動が第三者に対して悪影響を及ぼすことです。これまで資本主義は、経済成長を重視するあまり環境や社会の課題を取り残してきました。それを包摂して解決していくのが新しい資本主義であり、その手段の本丸が、インパクト投資なのです。

鈴木:不動産投資においても重要な観点です。ネットワーク社会となった現代であっても、リアルな場は経済活動や社会活動の根幹であり、その場を提供する不動産投資も、環境や福祉など社会課題に配慮した物件選定によっては間接的に社会貢献になりうると私は考えます。

何らかの社会的インパクトを起こしうる楽しみが不動産投資にはあって、富裕層の方ほど「何を買うか」だけでなく「誰に貸すか」を重視する傾向があります。「三方よし」ではないですが、自分の利益を追求するだけでなく、公益を意識することが、結果として持続的な投資になるということを理解しておられるのです。

鈴木子音 有栖川アセットコンサルティング 代表

鈴木子音 有栖川アセットコンサルティング 代表

いい投資は精神的な豊かさにつながる


渋澤:環境・社会の課題解決へ向けて上場企業が創出する価値をもっと意識するべきだということで、「インパクト加重会計」という考え方が注目されています。長年日本企業は、「社員を大切にします」「社会に対してこういう責任があります」と言葉では言ってきましたが、なかなかその意図がとくに海外勢には伝わりませんでした。それを数値化しようと試みたのがインパクト加重会計という概念です。経済的な価値と同時に社会的・環境的価値をつくることが企業の役割なのだということを可視化することで、株主や顧客などいろいろなステークホルダーと対話する土台ができるのです。

日本は他国と比べてこの概念への関心が高いと海外でも認識され始めていると感じています。一方、日本の企業は何か新しいことを始めるときに、まずはルールを求める受け身の姿勢になってしまうという傾向もあると思います。日本人の不得意な部分ですが、自分たちで指針をつくっていくのだというマインドシフトが起こり始めると、この流れにもっと勢いがつくのではないかと期待しています。

鈴木:日本の投資家からすると、インパクト投資に積極的に参加したいと思える動機はどのようなところにあるのでしょうか。

渋澤:先ほどのお話の価値観だと思います。環境破壊をしても関係なく、自分だけよければいいという人にはまったく響きません。もちろんそうじゃない人が圧倒的に多く、政府だけに任せていてはダメだという風潮が強まっていることを感じています。民間から何かできるのではないかという意識が芽生えており、そうした人たちがインパクト投資を支えているのです。

投資の選択肢が広がり、スマホで気軽に投資ができてしまう社会になっている今こそ、本質が問われるのだと思います。細かい部分は別として、自分が投資するものが社会にどう影響し、なぜ利益を生むのかという本質を理解したうえで、より多くの人に投資の世界に参加してほしいですね。

鈴木:まさにそうだと思います。投資は資産やおカネを増やす経済的な安定を目的として語られがちですが、精神的な豊かさを手にいれる手段でもあります。自分の投じたおカネによって社会に変化が起き、それがその人の精神的な豊かさにつながっていく。例えば不動産でしたら、その街が明るくなってさまざまな人が集まり、いい空気が流れる。そのような投資が「本質的でいい投資」だと私は思うのです。




すずき・しおん◎幼少期より中国、アメリカ、シンガポールで生活。慶應義塾大学在学中にベンチャーを起業し、同大学卒業後はリクルートに入社。首都圏100社以上の不動産会社を相手に経営改善・業務支援コンサルティングを行ったのち、シンガポールオフィスに勤務。帰国後に有栖川アセットコンサルティングを創業。著書に『不動産投資で組み立てる 富裕層のための資産防衛戦略』がある。

しぶさわ・けん◎シブサワ・アンド・カンパニー代表取締役、コモンズ投信取締役会長。1983年、テキサス大学化学工学部卒業。日本で国際関係の財団法人に従事したのち、米国でMBAを取得して金融業界へ転身。米大手ヘッジファンドを経て2001年、シブサワ・アンド・カンパニーを設立。07年にコモンズ(現コモンズ投信)を設立。経済同友会幹事、UNDP(国連開発計画)SDG Impact Steering Group委員、岸田内閣「新しい資本主義実現会議」有識者メンバーなどを務める。

Promoted by 有栖川アセットコンサルティング | text by Fumihiko Ohashi | photographs by Masahiro Miki | edited by Akio Takashiro