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2024.06.10 11:15

ジャパネットたかた2代目社長、父との対立も。カリスマ経営からの脱却で業績伸ばす

旭人氏には「高い家電はあまり売れないけれど、たった1日だけ安くして4年分くらい売ってしまえばいいのではないか」という斬新な発想があった。渋るメーカーを説得し、「売れ残っても返品しないから安くして」と交渉したという。

企画を提案した旭人氏と、断固反対する明氏。結論を社員40人で多数決することになったが、明氏についたのはたった2人だった。

そして、チャレンジデーは実施された。反対していた明氏も「やるなら全力でやる」と一生懸命テレビで紹介し、結果を出した。旭人氏は「ついてこいっていう考え方の父が、人に任せるという新しい考え方を学んだのでは」と振り返る。

父とは、人間的にリスペクトし合う関係だからうまくいった

こうした対立を繰り返していた2人だったが、旭人氏は事業承継が成功した理由として「お互いに相手へのリスペクトがあったこと」を挙げる。

明氏から激しく叱咤された日も、自宅に戻ると「気にするなよ」と電話がかかってきた。また旭人氏自身、「陰で父の悪口を言わない」というルールを決めていた。
 
明氏は、2015年に社長を退いた後、会長職には就かなかった。その理由は「俺が残ったら、社員がみんな俺の方を見ちゃうから」だったという。

仕事に関しては容赦なく意見を交わすものの、相手の人間性は決して否定しない──。この親子の信頼関係が、事業承継を成功に導き、2021年の過去最高売上げにつながっていった。


ジャパネットホールディングス◎1986年、髙田明氏が実父経営の「たかたカメラ」から独立する形で「たかた」を設立。90年にラジオショッピング、94年にテレビショッピングを開始し、明氏自らが出演する通信販売番組で全国区になった。99年に社名を「ジャパネットたかた」に変更。2007年にはジャパネットホールディングスを設立し、ジャパネットたかたは子会社となった。09年からはV・ファーレン長崎(現J2)のスポンサーとなり、2024年10月14日に開業する「長崎スタジアムシティ」で民間主導の地域創生事業を展開している。

(本記事は、事業承継総合メディア「賢者の選択 サクセッション」の前編後編を編集しています。なお、2022年9月BS12にて放送された内容です。)

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