来春に就職を控えた現役大学生の筆者が、就職後を想像しながらこのデータを読んでみた。
「1000万円以上」は13.8%
同調査では社会人2年生(500名)に、30歳時点の目標年収を聞いた。結果、「500万円~600万円未満」(25.0%)に多くの回答が集まったほか、「300万円~400万円未満」(13.4%)や「400万円~500万円未満」(16.2%)、「1000万円以上」(13.8%)にも回答が集まり、平均は647万円となった。男女別にみると、平均は男性705万円、女性588万円と、男性のほうが117万円高くなった。
■平均年収(国税庁調査,2023年)
男性平均
563 万円
女性平均
314 万円
男女平均
458万円
男性−女性
249万円
■平均目標年収(ソニー生命保険調査,2024年)
男性平均
705万円
女性平均
588万円
男女平均
647万円
男性−女性
117万円
■平均目標年収−平均年収(ソニー生命保険調査,2024年)
男性平均(差)
142万円
女性平均(差)
274万円
男女平均(差)
189万円
(記事末に表形式で再掲)
目に留まるのは、平均「目標」年収と実際の平均年収の乖離は、女性の方が男性よりも100万円以上大きいことだ。
クレヨンしんちゃんにみる年収と物価の推移
ちなみに、国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』のお父さん、野原ひろしの年収は約600万円だという。キャラクター誕生当時(1990年)の平均年収は425万円だったというので(国税庁「民間給与実態統計調査」)、驚くべきことにひろしは、平均年収を175万円ほど上回るハイスペックサラリーマンだったのだ。思えば、令和の新社会人が30歳で叶えたい年収が647万円。ひろしは今より物価が安い34年前にその理想年収に近い額をもらっていたということで、彼の年収は相当高かったと言える。
ではこの平均年収は時代とともにどう推移してきたのだろうか。厚労省によると、2001年以降、賃金の対前年増減率は-1.5%から+1.5%の幅に収まっている。具体的な数字を見ると、1990年(425万円)から2022年(458万円)の32年間で、上昇した平均給与はわずか33万円。上昇幅は1割にも満たない。
一方、物価については、1987〜2022年の35年間で約2割上昇したという調査がある。また、日本銀行のHPによると、「1965年の1万円は2023年の約2.4万円に相当する」という。
このように、給与水準が横ばいである一方で、お金の価値が下がり、以前と同じ生活水準を保つのにより多くの経費がかかるようになっている。昔の生活水準を叶えるのがとても難しい時代になってしまったことに、来春から新社会人になる筆者は一抹の不安を覚えた。
本記事冒頭で見た、理想と現実の間に横たわる200万円の壁。物価が上昇するなか、給与事情の現実は厳しいようだ。
(表)