働き方

2024.06.11 09:15

「出世したいと思わない」社会人1年目44%、2年目は?

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ソニー生命保険株式会社(東京都千代田区)が社会人1、2年目1000名を対象に実施した「社会人1年目と2年目の意識調査(第11回)」によると、「出世したいと思わない」社会人は1年生44%、社会人2年生53%にのぼった。


来春に就職を控えた現役大学生の筆者が、就職後を想像しながらこのデータを読んでみた。

出典:ソニー生命保険株式会社

出典:ソニー生命保険株式会社


2人に1人の新社会人が「出世したいと思わない」

全回答者(1000名)に、将来、どの役職まで出世したいか聞いたところ、「課長」が12.4%、「部長」が18.4%、「役員」が13.7%、「社長」が7.3%で、合計した『出世したい(計)』は51.8%となり、「出世したいと思わない」は48.2%だった。

年次別にみると、『出世したい』と答えた社会人1年生は56.4%、社会人2年生47.2%、「出世したいと思わない」は社会人1年生43.6%、社会人2年生52.8%となった。

また、年次・男女別にみると、社会人2年生の女性では「出世したいと思わない」が63.6%と、他の層と比べて高くなった。

調査結果を見て印象的なのが、(1)新社会人の出世欲の低さと、(2)1年目に比べて2年目の出世欲が更に下がっていることだ。この事実に関し、ソニー生命は「1年間働いてみて、管理職以上の人のような働き方は自分には難しいと感じた人や、出世することよりもワークライフバランスを大切にした働き方をしていきたいと考えるようになった人が多いのではないか」と考察している。

競争社会からの解放を求めて?

現役大学生の筆者の視点から見ると、新社会人の出世欲の低さに関して、2つの原因が思い浮かんだ。

1つ目は、「競争社会から解き放たれたい」との思いだ。日本では小学生から大学卒業まで、熾烈な学歴競争が繰り広げられている。大学生になってやっと競争から解き放たれると思いきや、3年生の春には激しい就活戦線に晒されることになる。そうした競争を戦い抜いたことで、野心を燃やし尽くした新人たちの姿が、このデータにあらわれているのではないだろうか。

出世=幸せとは限らない

2つ目は、価値観の多様化だ。出世よりワークライフバランスを重視するようになったのでは、とソニー生命が考察していたように、人生において何を大切にするかは個人の価値観によるものである。そもそも「出世=幸せ」「出世欲は高いほどいい」という考えは仕事第一優先という前提の元に成り立つ価値観であり、古くなってきているのかもしれない。また、必ずしも出世しないと稼げないわけではない。副業をして稼ぐという選択肢も増えている今、自己実現の形は千差万別である。

新社会人の出世欲が低下していることは一見寂しい現象のように思えるが、多様な価値観が受け入れられるようになったことの証左かもしれない。

文=神谷果歩(Forbes JAPANスチューデント・エディター) 編集=石井節子

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