事情に詳しい2人の情報筋によると、グーグルのスタッフは5月中旬にエンライトの退社を知らされたという。ある情報筋はフォーブスに対し、エンライトは社内のプライバシーチームを長年率い、グーグルのデータの取り扱いが議員や規制当局からの厳しい監視下に置かれた時期を乗り切ったことで社員から慕われ、尊敬されていたため、彼の退社は衝撃だったと語った。
また、グーグルの競争法の担当責任者であるマシュー・バイも、同社に15年間勤務した後、グーグルが反トラスト法(独占禁止法)関連で重要な裁判に直面する中で退社するという。グーグルは先日、同社がデバイスメーカーに巨額の費用を支払い、検索サービスの初期設定に自社のサービスを導入させていたと主張する米司法省が起こした画期的裁判の最終弁論を終えていた。
バイはフォーブスのコメント要請に応じなかった。グーグルの広報担当のジェーン・クライダーは、エンライトとバイが今後同社を退社し、後任を置かないことを認めた。
「当社は、ますます複雑化する義務や期待に応える革新的なサービスを立ち上げ、運営していく中で、法務や規制、コンプライアンス業務を定期的に進化させている。今回の変更により、全社的にコンプライアンスに取り組む人員が増加する。今後も、当社のサービスは高度なプライバシーおよびデータ保護管理を確立し、維持していく」とクライダーは声明で述べている。
メイシーズの元プライバシー責任者だったエンライトもコメントの要請に応じていない。グーグルによると彼は9月まで同社に在籍する予定だという。
この記事の掲載後、エンライトはLinkedInで退社を公表した。「この投稿は、物事を秘密にしておく傾向がある人物としては珍しく個人的なものになるだろう」と彼は書いている。「グーグルで13年以上働いた後、私は変化を求め、今秋に転職し、学んだことをすべて活かして新しいことに挑戦するつもりだ」
議会の追求の矢面に立った人物
エンライトは、グーグルのプライバシー顧問を務めた後の2018年に、最高プライバシー責任者に就任していた。彼は、議会で米国の連邦取引委員会(FTC)やその他のデータ当局からの追求の矢面に立っていた。2018年、エンライトはアマゾンとアップルのプライバシー責任者とともに、上院商業科学運輸委員会で証言した。議題は、米国民の個人情報に関して、巨大ハイテク企業が持つ影響力についてだった。「当社は、過去に犯した過ちを認め、そこから学び、堅牢なプライバシープログラムを構築した」と、彼は当時の証言で述べていた。