さらに、29%は「大学は、いずれにしろコストに見合わない」と答えていた。また、大学を出た人の間においても、過半数が大学の価値に懐疑的で、借金をしてまで大学に行く価値があると答えた人の割合は、約3人に1人にとどまった。
このような調査結果は、特に驚くべきものではないのかもしれない。米国の学生の総負債額は1兆6000億ドル(約248兆円)を突破し、2021年から2022年の卒業生の平均ローン残高は2万9000ドル(約450万円)に達している。大学の費用は年々上昇しており、一部の大学は授業料や寮費を合わせて年間8万ドル(約1250万円)以上を請求している。
アメリカ人が高等教育に対して冷めた見方をする一方で、ピュー研究所の調査によれば、過去10年間で大学を卒業していない若年成人(25〜34歳)のインフレ調整後の収入は増加しているとするものの、男性の収入はまだ1970年の水準には達しておらず、大学を出た人と出ていない人との収入格差は縮まっていないという。大学を卒業していない若い女性の収入は、依然として男性や高学歴の女性と比べてはるかに低い。
2023年の学士号を持つ若い男性の平均年収は7万7000ドル(約1200万円)で、高卒の男性の平均年収の4万5000ドル(約700万円)よりも71%高かった。一方、学士号を持つ若い女性の平均年収は6万5000ドル(約1000万円)で、高卒の女性の平均年収の3万6000ドル(約560万円)よりも81%高かった。一方、米国の若年労働者の大半は大学を卒業していない。25歳から34歳の労働人口3600万人のうちの1900万人が、大学を出ていない。
また、ここ数年は、多くの企業が求人の際の大学の学位の取得要件を削除し、代わりに「スキル重視の採用」に重点を置いている。
これらの傾向がすべて相まって、米国民の間で「良い仕事に就くために大学の学位は必要ない」という認識が広まったと考えられる。調査対象の成人のうちの49%が「高給の仕事に就く上で大学の学位は20年前よりも重要性が低くなった」と回答し、32%が「重要性が増した」と回答した。
高給の仕事を得るために4年制大学を卒業することが「非常に重要」または「極めて重要」と答えた成人は25%のみで、35%が「ある程度重要」、40%が「あまり重要ではない」または「重要ではない」と回答していた。
(forbes.com 原文)