食&酒

2024.06.06 14:15

現地とつながる在日モンゴル人社会の縮図、練馬で開催されたフェスで見たもの

モンゴルの春祭り「ハワリンバヤル」は今年で23回目となる歴史あるフェスだ

3組のモンゴル人アーティストも来日

モンゴルの人たちは音楽と舞踊に優れた民である。飲食ブース以上に盛り上がっていたのは、ステージで繰り広げられるさまざまなライブだった。
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モンゴルのアーティストたちが人知れず来日し、都内のクラブでステージを繰り広げていることも以前書いたことがあるが、今回来日し、この祭りのステージに立った3組も、夜は都内各地でライブを行ったそうだ。

その3組とは、まずモンゴルの人気ロックバンド「HURD」。彼らの演奏はいかにも1970年代っぽいおやじロックだが、モンゴルにはこの種のプログレなロックを愛するファンが多いそうだ。また「OPOZIT」という2人組は当代人気ナンバーワンのラッパーだという。

モンゴルの人気ラッパー「OPOZIT」の軽快なステージには大きな歓声が上がった

モンゴルの人気ラッパー「OPOZIT」の軽快なステージには大きな歓声が上がった

人気者の「OPOZIT」の2人を囲んでモンゴルの人たちが記念撮影。日本で彼らに会えたことがうれしいのだろう

人気者の「OPOZIT」の2人を囲んでモンゴルの人たちが記念撮影。日本で彼らに会えたことがうれしいのだろう

人気女性アイドル「Magnet Brain」のステージは、民族色の感じられない完全に西洋化したもので、日本でいえば宇多田ヒカルっぽいとでも言えばいいのだろうか。
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人気女性アイドル「Magnet Brain」のどこかけだるいステージが印象的だった

人気女性アイドル「Magnet Brain」のどこかけだるいステージが印象的だった

実際、モンゴル国の人たちは中国内のモンゴル人と違って、現代の中国文化の影響をあまり受けておらず、むしろユーラシア文化圏の住人である。食文化以外でも両者の違いが見られるのである。

モンゴル人デザイナーによるファッションショーも行われた。モデルは日本在住の若いモンゴル人男女だったそうだ。

モンゴル人デザイナーのファッションショー。モデルは在日モンゴル人の若者たち

モンゴル人デザイナーのファッションショー。モデルは在日モンゴル人の若者たち

中央の女性がモンゴル人デザイナーで、今回のために来日した。ブランド名は「GANGAN」

中央の女性がモンゴル人デザイナーで、今回のために来日した。ブランド名は「GANGAN」

今回同行した糸沢さんは人物撮影を得意とするカメラマンだが、手慣れた調子でモデルの彼らに声をかけ、撮影を始めた。モデルのなかには来日して3年という専門学校の学生や10歳のとき来日したという都内の高校に通う女子生徒もいた。

会場には、伝統的なモンゴルの民族衣装を身に着けた女性もいたが、大半はモダンにアレンジされたモンゴル風エスニックファッションで、実際にウランバートルにでも行かなければ見かけることのできないセンスが感じられ、新鮮に思えた。

また前述の人気女性アイドルばりに肌の露出が多く、タトゥーを入れた女性たちもいた。これも興味深いことだが、そういうイケてる感じの彼女たちは、ロシア系と思われる友人と一緒にいたりする。彼女たちにとっては中国人よりロシア人などのユーラシア系の人たちのほうが身近な存在なのだろう。

若いモンゴル人女性のファッションは人気アイドルの「Magnet Brain」風

若いモンゴル人女性のファッションは人気アイドルの「Magnet Brain」風

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文=中村正人 写真=糸沢たかし、中村正人

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