2024.06.05 18:00

タイのビザ緩和で「最大180日間の滞在」も、デジタルノマドに朗報

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タイ政府は6月1日からビザ(査証)の要件を大幅に緩和し、観光客や学生、リモートワーカーなどが長期滞在しやすくなった。これまで日本などを含む57カ国のパスポート保持者にビザなしでの短期滞在を認めていたが、対象国は93カ国に増え、滞在期間も30日から60日となった。

タイ政府の報道官が記者会見で明らかにしたところによると、デジタルノマドや自営業者、リモートワーカー向けのビザの有効期限は60日から5年へと大幅に延長され、1回の滞在は180日間となる。これまでは30日間の滞在が2回のみ許されていた。外国人留学生は卒業後1年間滞在を延長できる。

また、長期滞在する外国人退職者向けのビザでは、加入を義務付けている保険の補償額を大幅に引き下げる。これまで、50歳以上の退職者は補償額が300万バーツ(約1300万円)以上の医療保険に加入しなければならなかったが、44万バーツ(約180万円)に引き下げられた。

タイはこうした措置が低迷する経済の浮揚につながることを期待している。同国の財務省は5月初めに、今年の経済成長率予測を2.8%から2.4%に下方修正した。同国は今年、過去最高の4000万人の外国人観光客の誘致と、観光収入3兆5000億バーツ(約15兆円)を目標としている。

入国の際にパスポートに貼付する従来の紙のビザを必要とする国は世界中で減少傾向にある。国連世界観光機関の最新の「国連観光報告書」によると、2023年に紙のビザを必要とした旅行者は全体の47%で、2008年の77%、2018年の59%から着実に減少している。

世界各地を旅行する際の規制や要件は緩やかになりつつあり、入国に伴う面倒も少なくなっている。現在、世界人口の21%がビザを必要とせず、この割合は2008年の17%から増えている。到着時に空港で取得できる到着ビザや電子ビザを導入する動きも増えている。

ビザ免除の傾向は中東とアフリカで最も顕著だ。中東を訪問する場合、2015年には約10人に7人が訪問前にビザを取得する必要があった。昨年までにこの割合は57%(10人あたり5.7人)に下がった。

タイでの短期滞在でビザが免除される国のリストには今回、中国やインドのような多くの観光客が見込まれる国が加わった。

これまで19カ国のパスポート保持者に認められていた空港で発行するアライバルビザの対象は、アルメニアやフィジー、マルタ、サウジアラビア、セルビアなどを含む31カ国に拡大された。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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