前回調査で首位だった日本は3位となった。
また、今夏のパリ五輪開催で特に観光人気の高まりが期待されているフランスをはじめ、欧州6カ国がトップ10にランクインした。
2023年末時点のデータを基にまとめられた「旅行・観光開発指数(TTDI)2024年版」は、航空・陸上・港湾の交通インフラ、自然・文化資源、安全・治安、価格競争力、地域社会の観光に対する受容性など、複数の分野にまたがるさまざまな指標に基づいて各国の観光部門を評価し、ランク付けしている。
WEFはTTDIについて「(旅行・観光)セクターの持続可能でレジリエンス(適応力)の高い発展を実現し、国の発展に貢献する要因と政策を測定するもの」だと説明している。
調査結果から見えてくる世界の観光業界の現況と課題をみてみよう。
旅行・観光開発力に優れた国、分野別でみると
米国の総合1位に貢献した指標に「非レジャー資源」がある。一流大学、グローバル都市、大企業などの存在が旅行・観光業界にもたらした影響を測る指標で、米国は世界で最も高い評価を得た。また、自然資源でも米国はオーストラリアとブラジルに次いで分野別3位を獲得した。米国には国立公園と国立公園局(NPS)の管理地が合わせて429カ所あり、海岸線の長さは1万9300メートル以上を誇る。
米国は観光サービスやインフラの充実度でも同6位に入った。一方、価格競争力は同115位、安全・治安は同77位と沈んだ。
価格競争力ではマレーシアが1位、安全・治安ではシンガポールが1位だった。
2024年版のランキング総合順位トップ10は以下の通り。
1位:米国
2位:スペイン
3位:日本
4位:フランス
5位:オーストラリア
6位:ドイツ
7位:英国
8位:中国
9位:イタリア
10位:スイス
パンデミック後の観光業の回復ぶり
TTDI報告書は、観光産業が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる痛手から立ち直り、成長を続けていると指摘している。ただ、米国を含む多くの国が、さまざまな課題を抱えて成長痛に見舞われている。TTDIの評価対象119カ国のうち、71カ国がパンデミック前の2019年調査との比較でスコアを伸ばしたが、平均スコアはパンデミック前の水準をわずか0.7%上回ったにすぎない。
最も力強い回復傾向をみせたのは中東諸国で、国際観光客到着数が2019年比で20%以上増加した。北南米、欧州、アフリカも、90%前後の回復率を示した。
旅行需要の持続可能性も、注目すべきポイントだ。折しも欧州では、受け入れ可能な限界を超えて観光客が押し寄せるオーバーツーリズムの抑制や、少なくともその影響の相殺をねらった観光税の導入・引き上げに踏み切る自治体が増えている。
報告書では、観光業界における労働力不足、需要の増加に追い付かない航空路線のキャパシティ、インフレなども、取り組むべき課題として取り上げられている。
(forbes.com 原文)