くら寿司が全国の20〜60代の男女474人を対象に実施したアンケート調査によると、リアル回転寿司のお店に行きたいという人は全体で52.7パーセントと過半数だった。とくに20代男性は76.2パーセントと非常に多かった。
リアル回転寿司が好きな理由で20代の第1位は、「自分が好きなネタ以外のお寿司に出会える」から。2位は「お寿司が回っていると楽しい」、3位は「回転レーンから選び取るのが楽しい」、飛んで同率5位は「注文できないお寿司が流れていることがあるから」(つまり裏メニュー)と娯楽性やサプライズを重視する意見が多い。
リアル回転寿司は、じつは幸福感をもたらすと、脳神経内科医の内野勝行氏は話す。人間はすぐに満たされる欲望にはあまり興味を持たず、確実に入手できない状況で欲しいものを手にしたときに、幸福感が得られるという。「回転レーンから流れてくる時間を待たねばならない」、「ほしいものが簡単に見つからない」、「ほかの誰かに取られるかもしれない」とじらされる「良いストレス」がかかる状況で目当てのものを手に入れると、報酬系ホルモンのドーパミンが開放されて幸せな気分になるためだそうだ。
また内野氏は、回転寿司は「ウインドーショッピング型」でオーダー式の寿司店は「ネットショッピング型」だと言う。タッチパネルで注文する店では、ネットショッピングや動画配信のように、自分が欲しいものをピンポイントで確実に入手できる。それに対してリアル回転寿司は、意外なものを発見できる美術館や新聞のようなものだ。安く手軽に食事を済ませたいときはネットショッピング型。サプライズを楽しみたいときはウィンドーショッピング型ということだ。
調査では、こうしたリアル回転寿司の「意外性」を楽しんでいるのは、女性のほうが多かった。男性は全年代にわたり、いちいち注文するのが面倒だからリアル回転寿司がいいと言う人が多い。内野氏によれば、この違いは、男女の脳の構造の違いにあるそうだ。いずれにせよ、「どれにしようか」と回転レーンを眺めている間は狩猟本能が刺激されてアドレナリンが放出され、目当ての皿が誰かに取られないよう見つめるときは、何かが特定の場所に滞在するときにだけ働く海馬の「場所細胞」が活動し、お寿司を食べて満足するとドーパミンが出て多幸感を得て、食後に家族やパートナーと幸せを感じてオキシトシンが放出される。このように、リアル回転寿司は「入店から滞在、退店まで、脳を活性化させる仕掛けがある」と内野氏は解説している。
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