マーケット

2024.06.04 10:00

【米国株ウォッチ】ハーレーダビットソン、利下げ観測を踏まえると割安か?

Jakub Porzycki/NurPhoto via Getty Images

米国のオートバイメーカー、ハーレーダビッドソン(ティッカーシンボル:HOG)は米国時間5月31日現在、35ドル付近で取引されており、インフレショック前の高値である2021年5月17日の52ドルを約32%下回っている。同業のフォードは同期間に約12%下落した。

HOGは、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを開始する直前の2022年6月末には32ドル前後で取引されており、現在はそこから10%近く高い水準にある。これに対し、S&P500種株価指数はこの期間に約48%上昇した。

ハーレーダビッドソンの2024年第1四半期の売上高は前年同期比3%減の17億3000万ドル(約2723億円)、EPS(1株あたり純利益)は前年同期比16%減の1.72ドルだった。最近の業績不振の一因は、インフレと高金利にある。インフレは個人消費を冷え込ませ、高金利でオートバイや自動車の購入の際にローンも組みにくい。

株価パフォーマンス

もう少し長い期間の株価パフォーマンスを見ると、HOGはほとんど変化がなく、2021年1月初旬につけた35ドル台から現在35ドル前後までわずかに値動きした程度だ。2021年のリターンは3%、2022年は10%、2023年はマイナス11%であった。これに対し、S&P500のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、HOGは2021年と2023年にS&P500を下回った。

インフレショック前の高値に戻るためには、HOGは現在の水準から約48%上昇しなければならない。FRBは最近の5月会合で金利を据え置いたが、米国のインフレはここ数カ月でかなり緩和しており、年内にも利下げの可能性が残っていることから、市況の動向には楽観的な見方がある。私たちはHOGの目標株価について、新型バイクの販売実績にムラがあることや電動バイクの販売が伸び悩んでいることなどを差し引いた上で、現在の株価を約22%上回る43ドル程度としている。

近年のファンダメンタルズ

ハーレーダビットソンの売上高は、2018年の約57億ドル(約8972億円)から2020年には約40億ドル(約6926億円)に減少したが、これはコロナ禍によりオートバイ販売が打撃を受けた影響によるものである。しかし、そこから需要が回復し、サプライチェーンの問題も徐々に緩和されたため、2021年には53億ドル(約8342億円)、2023年には58億4000万ドル(約9192億円)まで売上高が回復した。

純利益は2018年の約5億3100万ドル(約835億円)から2020年にはわずか約100万ドル(約1億5700万円)にまで減少したが、2023年には約7億700万ドル(約1112億円)へと回復した。直近四半期時点における(金融部門の債務を除く)長期債務が7億4600万ドル(約1174億円)、それに対する現金残高は15億ドル(約2361億円)超と、財務状況もそれなりに強固である。

結論

2024年中にもFRBが利下げをするとの観測もあり、HOGは上昇の可能性を秘めていると私たちは考える。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事