第47旅団は過去数カ月の熾烈な戦闘で重量60t強、乗員4人のM1(編集注:ウクライナに提供されたのはM1A1の「SA(状況認識型)」と呼ばれる改良タイプ)を8両失った。大半はロシア軍のドローン(無人機)に撃破されている。だが、第47旅団はようやくこの問題に対処しつつあるようだ。対策は、突っ込んでくる自爆ドローンを戦車から安全な距離で爆発させるために「ケージ装甲」を追加するというものだ。
5月下旬にソーシャルメディアで共有された写真によると、少なくとも1両のM1にケージ装甲が施されている(編集注:この追加装甲はウクライナの鉄鋼メーカー、メティンベストが手がけている。写真のエイブラムスについては、車体正面などに旧ソ連設計の爆発反応装甲「Kontakt(コンタクト)-1」が装着されていることも指摘されている)。
And of course it finally happened. The M1A1SA Abrams has had its armour upgraded in theater
There is not enough standoff for the cage, and I don't think the wire will be strong enough to damage PG7 warheads
We'll have to wait and see how it performs when they bring her forward pic.twitter.com/zb3qvUhniU — Fennec_Radar (@RadarFennec) May 24, 2024
AP通信は4月下旬、米軍のクリストファー・グレイディ統合参謀本部副議長(海軍大将)らの話として、ウクライナ軍はアウジーウカ周辺でM1の損失が相次いだために、生き残っているM1を前線から引き下げざるを得なくなったと報じていた。
だが2週間後、第47旅団のM1の乗員はウクライナの軍事テレビ局「アーミーTV」に、それは事実でないと反論した。「嘘だらけだ」と。
この戦車兵は、第47旅団は損傷していないM1の使い方に注意を払っているだけだと説明している。「人員、装備、すべてにおいてロシア側のほうが上回っているので、状況は非常に厳しい。だからわれわれは戦闘を調整しなくてはならないのです」
同じ戦車兵によると、第47旅団がM1を投入するのは「出撃して敵の車両を撃破する」機会がある場合だけだという。裏を返せば、M1は最も外側の壕で防壁などに隠れてロシア軍が攻撃してくるのをただ待っているわけではなく、通常は前線の後ろで待機しつつ、一種の即応戦力として利用されているということだろう。