ブルームバーグに寄稿した長年のアップルウォッチャーであるマーク・ガーマンは、現行機種ではiPhone 15 Proだけが完全なAIツールスイートを活用できると指摘している。
その理由はiPhone 15 Proモデルに搭載されているA17 Proチップセットにあると考えられる。これはアップルの最新の「Axxモバイルチップセット」だ。その一方、アップルがiPhone 15とiPhone 15 Plusモデルには1年前のA16チップセットを採用して性能を抑えていたことには注意が必要だ。A17 Proの持つ、ニューラルエンジンと高速なCPUおよびGPUコアのパワーが、デバイス上での大規模言語モデル(LLM)と生成AIのルーチンを実行するために必要となるだろう。
それでも、iPhone 16 Proモデルには、アップデートされたA18 Proチップセットが搭載されるだろう。アップルがクアルコムやサムスンと同じ決断をしたのであれば、A18には負荷の高いAI処理をサポートするために特別に設計されたシリコンが搭載されるはずだ。iPhone 15 Proと15 Pro Maxは、A17の処理能力でA18に追随できるかもしれないが、スペックの低い標準モデルは取り残される可能性が高い。
一部のAIルーチンをクラウドにオフロード(実行依頼)するオプションもあるかもしれない。これは、より広範なAI処理を求めたり、低スペックハードウェアにAI機能を提供したりするために、複数のAndroidメーカーによって取られているアプローチだ。その場合には、アップルはクラウドにおけるAIのプライバシーへの影響を考慮して、アップルがこのリスクをどのように軽減できるかに大きく注力することになるだろう。
アップルとしては、ユーザーにもう1つのオプション、つまりAIに対応するために、新しい端末を購入することを検討してほしいと思っているはずだ。
AIは多くの人にとってさまざまな意味を持つが、スマートフォン業界にとっての最大の利点の1つは、有能なソリューションを提供するために新しいハードウェアが必要となることだ。
アップルはAIに関して独自の解釈を加えるだろう。それはおそらくユーザーのサポートに焦点を当てたもので、要約、より良い画像、Siriからの自然な応答、より正確な画像処理などを提供することに重点を置くだろう。しかし、その根底にある原動力は競合他社と同じものだ。つまり、「最初のAIスマートフォン」の1つを手にしたいなら、新しい端末を購入する必要があるのだ。
(forbes.com 原文)