国立海洋大気庁(NOAA)によると、アイス・アルベド・フィードバックとは「気温の上昇によって時間とともに徐々に海氷が融けていくと、太陽光を大気に向けて反射する明るい表面積が減少。その太陽エネルギーは反射する代わりに吸収され、その結果、さらに融解と温暖化が進み、寒冷期の氷の成長を遅らせる。」というものだ。さらに「次の春、氷はより早く融け、続く夏には(光を吸収する)暗い海面がより長い時間露出する」こととなる。
海氷は、海洋コンベアベルトあるいは熱塩循環と呼ばれる地球規模の大きな循環にも影響を与える。「海氷は海洋コンベアベルトの循環に寄与している。冷たくて密度の高い極圏の水は海面から降下して海底に沿って赤道に向かって循環し、一方、中深度から海面にかけての温かい水は赤道から極圏に向かって循環する」とNOAAのウェブサイトは説明している。このプロセスは密度の違いによって引き起こされる。海水は、陸氷を作っている淡水よりも塩分濃度が高い。
地球システムの複雑さをさらに詳しく説明するべく、ウッズホール海洋研究所とマサチューセッツ大学アマースト校の研究者らによる最近の研究で、融けていく北極の海氷と大気の冷却の間に興味深い相関があることがわかった。2020年のプレスリリースでは、「北極の融けた海氷が大量に北大西洋へと流れ込み、気候を左右する海流を妨害することで、約8000~1万3000年前の最後の氷河期以降の急激な気候変動を引き起こす重要な役割を担った」と記している。Geologyに掲載されたこの研究は、以前、大量の冷たく新鮮な海水が海洋コンベアベルトの循環を妨害し、ヤンガードリアスのような急激な冷却現象を引き起こしたことを示唆している。
気候は確かに自然変動を示している。その事実は、気候科学者たちが理解していることであるため、彼らにわざわざ思い出させる必要はない。しかし、彼らは人為活動もまた気候システムに影響を及ぼしていることも理解している。よく私がいうように、それは「どちらか一方」ではなく「両方」なのだ。氷の融解に関していうならば、そこには複数の「どちらも」と「もしも」が存在しているのだ
(forbes.com 原文)