2022年にサンフランシスコで開催されたカンファレンスの講演で、ワンは、Deelの創業当初の2019年にスタートアップアクセラレーターのY コンビネータ(YC)に参加したことにふれた。彼女の会社のプロダクトは、賃金の支払いを効率化するソフトウェアだったが、当初のアイデアは複雑すぎると言われたという。
そこでワンと共同創業者でCEOのアレックス・ブアジズは、改善点を探るために6週間を費やしてYCに参加していた約200社のすべてにフィードバックを求めたという。
ワンの卓越したビジネスセンスと徹底した実行力のおかげで、Deelの年間経常収益は、設立からわずか5年弱で5億ドル(約780億円)に達した。同社の評価額は2022年4月の資金調達時に120億ドルとされたが、フォーブスはより最近のセカンダリーマーケットの取引に基づいて、直近の価値を70億ドル(約1兆円)と見積もっている。
Deelの最高収益責任者(CRO)を務めるワンは、フォーブスが先日発表した「米国で最も裕福な自力で成功した女性(America’s Richest Self-Made Women)」ランキングの39位に初登場し、推定保有資産は8億5000万ドルとされた。
「私は競争心が非常に強く、すべてが完璧でなければならないと考えるタイプです」と、ワンは2022年のカンファレンスで語っていた。マサチューセッツ工科大学(MIT)で機械工学を学んだ彼女は、会社の営業活動を「アートではなくサイエンス」と見ており、「販売チームをエンジニアリングのプロジェクトとして運営すべきだ」と説明した。
それでも、彼女は自身の最大の強みは楽観的な考え方だと話す。「私は、いつでもすべてがうまくいくと思っているんです」