ビジネス

2024.06.03 13:00

中国からの移民が米ユニコーンの幹部に、Deel創業者の成功物語

Shuo Wang|Deel CRO兼共同創設者 (C)Deel

国境を越えて優れた人材を雇用する企業向けに労務管理ソフトウェアを提供するユニコーン企業Deel(ディール)の共同創業者のシュオ・ワン(35)は、16歳で移民として米国に渡り、週末は中古バイクを販売する母親の仕事を手伝っていた。それから20年近くがたった今、彼女の保有資産は8億5000万ドル(約1330億円)に達している。

2022年にサンフランシスコで開催されたカンファレンスの講演で、ワンは、Deelの創業当初の2019年にスタートアップアクセラレーターのY コンビネータ(YC)に参加したことにふれた。彼女の会社のプロダクトは、賃金の支払いを効率化するソフトウェアだったが、当初のアイデアは複雑すぎると言われたという。

そこでワンと共同創業者でCEOのアレックス・ブアジズは、改善点を探るために6週間を費やしてYCに参加していた約200社のすべてにフィードバックを求めたという。

ワンの卓越したビジネスセンスと徹底した実行力のおかげで、Deelの年間経常収益は、設立からわずか5年弱で5億ドル(約780億円)に達した。同社の評価額は2022年4月の資金調達時に120億ドルとされたが、フォーブスはより最近のセカンダリーマーケットの取引に基づいて、直近の価値を70億ドル(約1兆円)と見積もっている。

Deelの最高収益責任者(CRO)を務めるワンは、フォーブスが先日発表した「米国で最も裕福な自力で成功した女性(America’s Richest Self-Made Women)」ランキングの39位に初登場し、推定保有資産は8億5000万ドルとされた。

「私は競争心が非常に強く、すべてが完璧でなければならないと考えるタイプです」と、ワンは2022年のカンファレンスで語っていた。マサチューセッツ工科大学(MIT)で機械工学を学んだ彼女は、会社の営業活動を「アートではなくサイエンス」と見ており、「販売チームをエンジニアリングのプロジェクトとして運営すべきだ」と説明した。

それでも、彼女は自身の最大の強みは楽観的な考え方だと話す。「私は、いつでもすべてがうまくいくと思っているんです」
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編集=上田裕資

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