リモートワークを支える技術
ブアジズとワンは、自分たちの国際的なバックグラウンドがDeelの成功の基盤になったとたびたび語っている。ブアジズは、パリで育ち、テルアビブで大学に通った後にMITの大学院に進学した。2人は前職での挫折を経験した後、複数の国にまたがって事業を行うスタートアップが、各国のコンプライアンス規制を気にせずに従業員を雇用し、給与を支払うことを容易にするソフトウェアを作ろうと考えた。「仕事の未来はリモートだ」と、ワンは2019年のフィンテックのカンファレンスで語っていた。これはDeelの立ち上げの直後のことで、パンデミックがリモートワークを一般化させる1年前のことだった。
2019年にYCのプログラムを終えたDeelはその後、急速に知名度を拡大し、現在はYCで出会った小規模なスタートアップからボストンコンサルティンググループ(BCG)のような大企業まで、2万5000社以上の顧客を抱えている。同社の年間経常収益(ARR)は2024年3月時点で5億ドルに達している。
Deelは、最近の買収によって人事ソフトウェア市場のより広範でグローバルなセグメントを開拓することを目指している。同社は2022年に、アジア太平洋地域を拠点とする給与計算会社PayGroupを推定8000万ドルで買収し、今年3月には、アフリカと中東で事業を展開する給与計算会社PaySpaceの買収を発表した。
元 YC のパートナーで、財務アドバイザリー会社 Magid & Company の共同創業者のアーロン・ハリスは、Deel が急速に成長し、その勢いを維持している理由として、創業者の間の信頼関係と、それぞれがほぼ独立して仕事を進められる点を挙げている。
「彼らの間にはすばらしい双方向のエネルギーが常にあるのです。2人はお互いのアイデアを刺激し合い、信頼し合っているのです」とハリスは語った。
(forbes.com 原文)