天文学誌The Astrophysical Journalに掲載予定の論文では、こうした合成された温室効果ガスが太陽系外惑星の大気に含まれていることを示す「テクノシグネチャー(技術文明の存在指標)」を探索する理論的根拠を説明している。
過去の研究では、地球では数十年前が最も深刻だったフロン類による大気汚染に対処している過程にある系外惑星の汚染された大気を探すことが提唱されてきた。
今回の最新論文によると、産業過程に伴って発生する受動的な副生成物とは対照的に、合成された温室効果ガスは、環境中に長期間残留し、かつ毒性の低いガスを利用して惑星の気候を変化させるための意図的な取り組みを示している。
論文の筆頭執筆者で、米カリフォルニア大学リバーサイド校の宇宙生物学者エドワード・シュウィーターマンは、取材に応じた電子メールで、今回の研究では、合成温室効果ガスが検出可能な指標データを生成する可能性のある2つのシナリオについて説明していると述べている。第一のシナリオは、人類による火星の地球化計画として提唱されているように、地球外文明が自身の恒星系にある、そのままでは居住に適さない惑星を、居住可能な環境に変化させるテラフォーミングを実行する場合だ。
第二のシナリオは、地球外文明が自身の惑星の氷河期の進行を食い止めるために、合成温室効果ガスを導入する場合だ。地球から観測する側にとって、このようなテクノシグネチャーの利点は、環境中に長期間残留できる上、地球外生命体社会による意思疎通を図るための意図的な活動を必要としないことだと、シュウィーターマンは続ける。