経営・戦略

2024.06.06 11:15

世界首位独走語学アプリDuolingo、CMOが語った広告哲学と「優先指標」

Duolingo最高マーケティング責任者マニュー・オーサード(Manu Orssaud)氏

世界で最もダウンロードされている米国の言語学習アプリ「Duolingo」。学べる言語は42言語、100種類以上のコースが提供され、しかもそれが完全に無料。グローバル月間アクティブユーザー数は9700万人超と、語学学習アプリのシェアの9割を占め、首位を独走している。また、2020年の日本への本格進出以降、2年連続で「最もダウンロードされ」「最もアプリ内収益をあげた」教育アプリとなるなど、日本でも急成長を遂げている。

Duolingo最高マーケティング責任来日

2020年から「Duolingo」(Duolingo,Inc.)の最高マーケティング責任者を務めているマニュー・オーサード(Manu Orssaud)氏の来日に合わせ、5月9日にTokyo Innovation Baseでトークセッションが開催された。

テーマは“「Duolingo」のマーケティング戦略から学ぶ事業拡大と、愛されるブランドづくりについて”。海外の最新テック・カルチャー情報を伝えるポッドキャスト番組「Off Topic」(Off Topic株式会社)が共催となり、同社の代表・宮武徹郎氏がモデレーターとして登壇した。

オーサード氏はマーケティングに携わって20年。そのキャリアはパリに本社を置く総合広告代理店HAVASに始まり、その後、Sony PlayStation、Spotifyと常にテックビジネスに関わってきた。これらの経歴の中でオーサード氏が常に意識してきたことは「本当にユニークなブランドのために」、そして「オーディエンスと強いコネクションを持つブランドのために」仕事すること。Duolingoはまさにそういったブランドだったという。
Duolingoのキャラクター、デュオ君も登壇

Duolingoのキャラクター、デュオ君も登壇

オーサード氏が出会ったDuolingoは、教育コンテンツにゲーミフィケーションの要素が組み合わさっており、これまでの言語学習アプリとはまったく違っていた。ここでならPlayStationでのデジタルマーケティングやSpotifyでのグローバルマーケティングの経験を活かすことができる、と考えたという。また、同社の掲げるミッションがテックカンパニーとしてはユニークで面白いと感じ、Duolingoへの参画に至った。

そのミッションとは、「誰でも利用できる世界最高の教育を開発する」ということ。

「Duolingoは無料で提供されている。だからビル・ゲイツであってもシリアの難民であっても同じコンテンツを使って学習できる。我々はこれを誇りに思っています。だからこそ9700万人という多くのユーザーに利用されているのです」
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文=宮崎沙綾 編集=石井節子

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