シンガポールに拠点を置く航空コンサルタント会社フランシス&ロウのマネージング・ディレクター、リーセン・フランシスは、コードシェアのいちばんの恩恵は、コスト効率の高い形で国際航空ネットワークを拡大することができる点だと話す。
「旅客は旅行先としてより幅広いネットワークにアクセスすることができるようになります」
提携各社の国内線や短距離路線が使えることで、SIAも自社の旅客にわずかなコストでより広い目的地の選択肢を提供できるという利点もある。
それに加えて23年6月、SIAは英国の航空格付け会社スカイトラックスにより「ワールド・ベスト・エアライン」に選ばれた。19年からトップだったカタール航空を抑えての選出となった。これもまた、インドが秘める莫大な可能性とかかわってくる。
中東地域と西側諸国の間の路線は、カタール航空、特にエミレーツ航空、それにエティハド航空という湾岸御三家が牛耳っているが、SIAがエア・インディアとの提携を完了させたことで、3社との闘いに向けた態勢が一段と整ったことになる。
「エア・インディアが質の高いサービスと定時性を誇るワールドクラスの国際航空会社になれば、インドの人々がヨーロッパに旅行する際のとても魅力的な選択肢になるでしょう」(ゴー)
再生シンガポール航空の将来の夢は、インドの上空に浮かんでいるようだ。
シンガポール航空(SIA)◎1947年にマラヤン航空として設立され、65年のシンガポール独立を経て、1972年にマレーシア航空と分離、シンガポール航空となる。2023年を含め5度、航空格付け会社スカイトラックスが選ぶワールド・ベスト・エアラインに選ばれ、客室乗務員のサービスの質の高さなど、高い顧客満足度で知られる。
ゴー・チュン・ポン◎マサチューセッツ工科大学で電気工学とコンピュータサイエンスの修士号を取得。1990年にSIAに入社し、シンガポールと海外で上級管理職を歴任。2011年1月1日より同社CEO。海外勤務では中国とスカンジナビアに駐在した。アジア太平洋航空協会(AAPA)および、国際航空運送協会の会長を務める。