スタートアップ

2024.06.03 11:15

岩手から発信する医療ベンチャー集団がファンドを組成して第2ステージへ

「登録企業の倒産企業:0社」の発表

カンファレンスで発表されたなかで2つ目の目玉は、株式会社T-Mentorsの設立である。Mentorとは、平たく言えば「先生」や「指導者」という意味だ。TOLICの中心メンバーが集まり、新たなスタートアップを促進していくのが狙いの組織である。

なので、T-Mentorsはそれ単体で利潤を追求するものではない。眼目は人材育成である。若い人たちにどんどん起業してもらい、ベンチャーを数多く生み出し、そして連係しながら、みなで成長するというTOLIC的なイメージが根底にある。そして、それを先輩たちが支えていく。

僕が面白いと思ったのは、T-Mentorsのモデルにファンドが組み込まれていて、今回のファンドをマネージしたFVCTohokuの小川淳社長がメンターのひとりとして名を連ねていることだ。

そして、この日、片野氏が事業説明をする際に目標として掲げ、周りから拍手さえ受けていたのは、「登録企業の倒産企業:0社」と発表したときだった。「デスバレー」はベンチャー企業につきものだ。そして、この「死の谷」を越えられずに多くのベンチャーが短命に終わる。

しかし、T-Mentorsは、「指導するからには必ず生き残らせる」と宣言している。これは、成長率何パーセントという目標を掲げるよりも野心的であり、そしてなによりTOLICらしいマニフェストなのだと筆者は思う。

TOLICの企業が集中して入居している盛岡市郊外にある「ヘルステック・イノベーション・ハブ(HIH)」

TOLICの企業が集中して入居している盛岡市郊外にある「ヘルステック・イノベーション・ハブ(HIH)」

文=榎本憲男 写真提供=小笠原勇司

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