そのため、絶滅したとされていた種が野生で再発見されることは、歓迎すべき報せだ。そんな例を2つ紹介する。
1. ウーリームササビ(70年間絶滅とされた後、1994年に再発見)
ウーリームササビ(Eupetaurus cinereus)は、パキスタン北部およびインド北西部の山岳地帯を原産とする非常に大きなムササビ類で、体長は最大90cmに達する。20世紀初めに絶滅したと信じられており、科学者たちは保存されていた1800年代後半のわずかな皮膚と検体をもとに研究した。しかし、1990年代にピーター・ザーラー率いる研究チームが、パキスタンのカシミール地方に同種が生息していることを確認した。
ザーラーがウーリームササビを再発見した経緯は、再発見そのものと同じくらい印象的だ。彼は1992年に、伝統的な捕獲方法を用いてこの失われたを探していた。アーモンド、はちみつ、穀物などのおいしい餌でおびき出そうとしたが、罠をしかけて2カ月間、何も見つからず、ザーラーは帰国した。
1994年に再びパキスタンに渡ったが、同様の結果だった。最後の最後までは。資金と時間がなくなりつつある中、ザーラーの同僚が注目すべき手がかりを見つけた。絶滅したムササビのものと思われる前足が、 崖の上で見つかったのだ。それはおそらくワシミミズクによる食べ残しだと考えられた。
数日後、チームはが別の目的でムササビを探していた現地の2人組の男に出会った。彼らはムササビの尿を集めて現地の市場で売っていた。それが媚薬になると信じられていたためだ。1日もたたないうちに、男たちは1匹の雌のムササビを袋に入れて戻ってきた。ザーラーたちは男たちに謝礼を支払い、謎は解決した。