ソニー、インタビュー記事を削除し謝罪 ゲーム開発者の発言を捏造

Naughty Dog(ノーティードッグ)幹部のニール・ドラックマン(Alberto Rodriguez/GA/The Hollywood Reporter via Getty Images)

Naughty Dog(ノーティードッグ)幹部のニール・ドラックマン(Alberto Rodriguez/GA/The Hollywood Reporter via Getty Images)

ソニーが、同社傘下のゲーム開発企業Naughty Dog(ノーティードッグ)を率いるニール・ドラックマンのインタビュー記事を削除した。ドラックマンは同記事での発言が物議を醸していたが、実際にはそうした発言をしていなかったことが判明。ソニーは記事内の誤りを認め、ドラックマンとそのチームに謝罪した。

以下はソニーの発表文全文だ。

「本ウェブサイトに掲載したNaughty Dogのニール・ドラックマン氏のインタビュー記事について、再精査を行ったところ、(アニメーション、執筆、テクノロジー、AI、今後のプロジェクトなどについて)本人の見解と異なる、または価値観を正確に示していない記述があることが判明しました。ドラックマン氏の話した内容を正確にお伝えしなかったことから、ドラックマン氏およびそのチームの皆様にご迷惑をおかけしましたこと、お詫び申し上げます。Naughty Dogおよびソニー・インタラクティブエンタテインメントと再確認を行い、該当のインタビュー記事を削除しました」

記事中での最も重大な誤りは、ドラックマンがNaughty Dogの新作ゲームについて「ゲームに対する主流の認識を再定義するかもしれない」と言ったとされる部分だった。この発言は、ドラックマンが自身とその作品についてやや自信過剰であるかのような印象を与えたため、ソーシャルメディアで急速に拡散した。

だがドラックマンはその後、記事では自身の発言の「文脈と意図」が編集によって失われたと指摘した。ただ、これは外交的な言い方であり、彼が投稿したインタビューの書き起こしを読んでみると、記事で書かれたようなコメントはまったくなかった。

この発言に最も近いのは「私は、私たちが作っているこのゲームにわくわくしており、これは私たちにとって本当に新鮮なものであるが、それだけでなく世界にどのような反響を呼ぶのかをとても楽しみにしている」という部分だ。この段落全体をみても、物議を醸した表現に該当するものはなく、文章が与える印象もかなり異なる。

ドラックマンはまた、ゲームにおける人工知能(AI)の使用についてのコメントも物議を醸していた。ソニーの発表からは、この部分も不正確だったことが読み取れるが、具体的にどの部分が問題だったのかはわからない。

どうしてこのような事態が起きたのか? 多くの人が「ゲームジャーナリズムはここまで落ちた!」と嘆いたが、そうした人々は今回の記事がジャーナリズムではなく、ソニーの社内インタビューであったことに気づいていないようだ。ソニーはこの記事で、人物の発言をまったく異なる言葉で要約するという大きなタブーを、少なくとも1カ所で犯した。ドラックマンのコメントを、原発言とはまったく異なる上、物議を醸すような言い回しで置き換えてしまったのだ。

インタビューでは、簡潔さや分かりやすさを優先して発言を編集することはできるが、言い回しを変えたり、発言の裏にある意図を勝手に解釈したりすることはできない。それが、今回起こったことのようだ。さらにこの背景には、ソニーがこれまでゲームメディアに対し、ドラックマンをはじめとする自社スタジオの重役をインタビューする機会をめったに与えなかったこともある。

ドラックマンが今後、他の部分の誤りを指摘する可能性もあるが、今のところ、この奇妙な状況は幕を閉じたようだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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