現在は、焙煎したコーヒー豆のパッケージに、ハワイ産コーヒーがたったの10%含まれているだけで、その地理的名称をマーケティングやブランディングに使用することができる。
例えば、ハワイ島西部のコナ地区で栽培される「コナ・コーヒー」は、ブルーマウンテン、キリマンジャロと並ぶ世界3大コーヒーの1つと言われているが、現在の法律では、コーヒー豆のパッケージにコナ・コーヒーが10%含まれていれば、残りの90%が外国産コーヒーであっても、「コナ・ブレンド」と称することができる。
しかし、新たに可決された下院法案2298では、この基準を51%に引き上げる。
この新しい法律が2027年7月に施行されれば、コナ・コーヒーと称するものはすべて、従来の10%ではなく、51%以上のコナ・コーヒーが含まれていなければならない。
上の例ではコナが使われているが、新たな法律はコナだけでなく、カウ、マウイなども含むハワイのすべてのコーヒー産地に適用される。また、この規則は焙煎済みコーヒー豆のみならず、インスタントコーヒーやレディ・トゥ・ドリンクと呼ばれるボトルやパック入りコーヒー飲料のすべてに適用される。
この法案は、ハワイのコーヒー農家にとって大きな勝利であると称えられている。長年の懸案であり、ハワイ産コーヒーにさらなる価値を与え、ブランドの品質を再確立し、地元の利益を守ることになるからだ。
30年前から「コナ・コーヒーの農家は、コナの名を冠しながらもコナ・コーヒーがほとんど、あるいはまったく含まれていないと思われるコーヒーを販売した有名なコーヒー販売業者に対し、民事訴訟を起こしてきた」と『Daily Coffee News(デイリー・コーヒー・ニュース)』は書いている。「一連の訴訟では、少なくとも3300万ドル(約52億円)の和解金と580万ドル(約9億1000万円)の弁護士費用が支払われてきた」
「100%その地域で生産されたわけではないものに、地域の名前を使用することを認めているのは、世界でも私たちの地域だけです」と、「コナ・コーヒーベルト」と呼ばれるコナ地区のコーヒー栽培に適した地域でGuard Well(ガードウェル)農園を経営するジョシュア・モンゴメリーはいう。「メルセデス・ベンツのシートをフォード・フィエスタに取り付けてメルセデスと称して売るようなものです。それは不誠実で、ブランドを傷つける行為です」