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2024.05.30 17:00

菌を増やして豊かな森林を、カンラン石でCO2回収 国内外で注目が集まる「GX」

水がある環境下において緑色をしたカンラン石はCO2と急速に反応して風化する(Getty Images)

今年4月、国内のカーボンクレジット市場に注目すべき新たな動きが見られた。経済産業省が主導する「GXリーグ」が「GX-ETSにおける適格カーボンクレジットの活用に関するガイドライン」を発表したしたのだ。

GXリーグとは、その名のとおり「GX(グリーントランスフォーメーション)」を促進することで、いち早く政府が制定した2050年のカーボンニュートラル目標を牽引するための官・学・金の共同体である。GXリーグでは、排出量取引制度、市場創造のためのルール形成、メンバー間のビジネス機会創発や交流を促進するスタジオなどといった枠組みを提供している。

排出権取引制度で認められるカーボンクレジットの見直し

「排出量取引」に関しては、「GX-ETS」が2023年度から3年間の試行を開始している。今回のガイドラインにおいて、注目すべきは排出権取引制度で認められるカーボンクレジットの見直しが行なわれる点だ。カーボンクレジットとは、温室効果ガスの排出削減量を売買できる仕組みのことであり、これまで政府によって認定されていたクレジットはいずれも政府機関が運用するJ-CreditやJCMのみだったが、今後は民間企業も参入できる「ボランタリークレジット」なども加わる。

また、政府によって認定された適格カーボンクレジットの申請対象として認められる方法論には、以下の4つが含まれることとなった。

1. CCU(Carbon Capture, Utilization)
「二酸化炭素回収・利用」の略で、分離・回収したCO2を利用する技術

2. 沿岸ブルーカーボン
沿岸・海洋生態系(マングローブ、海草藻場、塩湿地など)による炭素隔離・貯留

3. BECCS(Biomass Energy with Carbon Capture & Storage)
バイオマスエネルギー(森林の間伐材、家畜の排泄物、食品廃棄物など)利用時に排出されるCO2の回収・貯留

4. DACCS(Direct Air Capture with Carbon Storage)
大気中のCO2直接回収・貯留

このうち、商業化のタイミングも含めて「沿岸ブルーカーボン」が最も早く適用される可能性が高いとされている。

スクラムベンチャーズでは国内外でシードステージにあるClimate Tech領域のスタートアップを探索している。本記事では、これらの領域で注目が集まるスタートアップをご紹介する。

二酸化炭素を回収し炭酸塩に転換するCarbon to Stone

2022年に米コーネル大学からスピンアウトしたスタートアップ「Carbon to Stone」同社は、空気中のCO2を回収して耐久性の高い、貯蔵可能な炭酸塩に転換する技術を有している。

本来は廃棄されていたアルカリ性の産業廃棄物とCO2を結合させることが同社技術の特徴であり、転換の際に発生する金属やシリカといった素材は別利用の目的として販売可能で、サーキュラーエコノミーにも貢献する。

Carbon to StoneのCCUプロセスは、通常のCO2を無機化するプロセスと比べて何倍もの速度で実施することを可能としており、2028年までには空気中から1000t以上のCO2を除去することを目標としている。
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文=島田弓芙子、編集=安井克至

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