健康

2024.06.03 17:45

昼休みの歯みがきが午後のパフォーマンスに影響

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歯みがきは口の中がスッとして気持ちがいいが、じつは自律神経に影響して気持ちを前向きにしてくれていることが、ライオンの研究でわかった。

大脳皮質には身体の感覚を処理する第一体性感覚野という部分があるが、そのおよそ30パーセントが口腔の感覚にあてられているとのことで、口の中は非常に感覚が鋭く、そこを刺激することで自律神経に影響を与えることが過去の研究で指摘されている。ならば、歯茎に刺激を与える歯みがきも自律神経に影響するのではないかと、ライオンの研究チームが検証を行った。

研究チームは、20歳から40歳の男女20人に参加してもらって、歯みがきと自律神経に関する実験を実施。5分間の歯みがきで、自律神経と気分にどのような影響があるかを調べた。自律神経の測定は、心拍センサーと交感神経の指標であるLF/HF値を使用。気分については、TDMS-ST(二次元気分尺度)という心理検査で計測した。

その結果、歯みがきの前と後とではLF/HF値が大きく低下し、TDMS-STの安定度、活性度、快適度、覚醒度に変化が見られた。つまり、歯みがきによって自律神経活動が整えられ、気持ちがリフレッシュされて前向きな心理状態になったと考えられる。

この研究について杏林大学医学部の古賀良彦名誉教授は、歯みがきの「ストレス対処としての有用性を、生理心理学的側面から多次元的に明らかにした研究はほかに例がありません」と指摘する。また、昼食後に歯みがきをすることで、「自律神経のバランスが整って、午前中の生活によって生じたストレスが緩和され、仕事のパフォーマンスが向上する可能性がある」とも話している。歯みがきは、心身を整える新たな習慣になるということだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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