ウインドチャレンジャーは、硬翼帆式風力推進装置と呼ばれるもの。軽量で頑丈な複合材料で作られた帆は、風の状態に応じて伸縮したり角度を変えたりして、効率的に推力を生み出す。またこれは単なる装置ではなく、目的地までの天候などに関するビッグデータの解析で風向きを予測し、風のある最適な航路を選択するという総合的な推進システムとなっている。
2022年に竣工した松風丸は、その後約18カ月間の就航で1日最大17パーセントの燃料節約効果を記録した。1航海あたりの節約効果は想定どおりの5〜8パーセントだった。
今回発表された新造船7隻のうち、3隻のばら積み船にはウインドチャレンジャー1本が搭載される。予想される年間平均の燃料削減効果は最大16パーセント。
さらに別の3隻にはウインドチャレンジャーに加え、イギリスのAnemoi Marine Technologiesが提供する風力推進補助装置「ローターセイル」を数本、同時に搭載することも検討されている。これによる燃料の年平均の節約効果は最大で28パーセントと想定されている。
残る1隻は多目的船だが、こちらにはオランダのEconoWindが提供する、飛行機の翼のように揚力を利用した風力推進補助装置「ヴィントフォイル」が2本搭載される。年間平均の予想燃料削減効果は約2パーセント。
商船三井では、ウインドチャレンジャー船を2030年までに25隻、2035年までに80隻投入する計画を立てている。
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