欧州

2024.05.28 17:00

ロシアはウクライナとの「FPVドローン戦」に負けている

レポートにはこうある。「2023年12月は【略】歩兵作戦におけるドローンの使用の転換点になった。以後は一貫してウクライナ軍の(FPVドローンによる)攻撃回数がロシア軍を上回っている。ロシア軍による(FPVドローンの)使用は2024年1月に頭打ちとなり、それ以降、減少の一途をたどっている」

レポートによると、昨年12月以降、FPVドローンによる攻撃回数ではウクライナ側のリードが月ごとに拡大している。ウクライナのFPVドローン増産は、戦場でロシア軍の車両や歩兵の損耗拡大という目に見える結果をもたらしている。一方、ロシア側はそうなっていない。

ロシア軍によるウクライナ軍に対するFPVドローン攻撃を記録しているウェブサイト「Lostarmor」によると、攻撃の成功数は昨年12月に605回だったのが、今年2月は887回、3月はわずか227回と急減している。

ロシア軍の車両の損害がウクライナ側よりも多いのは、ロシア軍は攻撃する側で、目標にされる車両が多いからだと説明されてきた。ただしFPVドローンは現在、大量に投入されて個々の歩兵も攻撃するようになっており、こちらもウクライナ側のほうがはるかに頻繁に行っている。

両軍の装備の損害を毎日カウントしているOSINTアナリストのアンドルー・パーペチュアは4月下旬、「わたしたちの集計では、過去数カ月、ロシア軍の歩兵に対するドローン攻撃は1日平均45回、ウクライナ軍の歩兵に対するドローン攻撃は同12回だった」と報告している

平均すると1回の対人FPV攻撃で1人の損耗が出ている。そして、この数は増加している。

電波妨害戦でも劣勢

ロシア側のFPVドローンに関する取り組みが成果をあげていないらしいことについて、ベンデットは、ウクライナ側によるFPVドローンへの電子対抗手段の有効性が高まっているためではないかとみている。たしかに、これは大きな要因のひとつと考えられる。たとえば最近、ウクライナ政府の募金プラットフォーム「UNITED24」は戦術ジャマー(電波妨害装置)2000台を前線に送っている。他方、ロシア側のジャマーはウクライナ側よりも効果が低いことも明らかになっている。

次ページ > ロシア軍は電波妨害への対応が後手に回っている

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事