海外

2024.05.29 14:00

故ジョブズの妻も出資するAI新興、米Coactive AIの独自性

コールマンは同社の詳細な業績を明らかにしなかったが、顧客数は数十社に上り、今年の売上高は前年の8倍以上に拡大する見込みだという。事業がここ数カ月で軌道に乗ったことを受けて、他のベンチャーキャピタルが出資を申し入れていることを知ったブラウン・フィルポットは、慌てて交渉を前に進めたという。「彼らは成果を挙げており、他のAI企業よりも早く成長している」と彼女は話す。

ブラウン・フィルポットが設立した投資会社のチェリーロック・キャピタルは、黒人やラテン系の起業家への投資を目的とした最初のファンドを組成している最中だ。彼女によると、コールマンとの最初のミーティングでは、プロダクトの話よりもAIの偏見をなくすという彼の使命に話題が集中したという。例えば、一般に利用が可能な画像データセットの多くは高所得者層に関連したものだが、コアクティブAIは様々な所得の世帯から3万8000点を超えるアイテムの画像を集めた画像データセットを共同で作成している。

「AIの偏見をなくすためには、使用するデータについて考えなければならない。コアクティブAIは生成AI企業ではなく、AIとデータに関するあらゆる要素を組み合わせて意思決定を行うためのSaaSプラットフォームだ。だからこそ、同社は技術開発につきものであるバイアスに対処する可能性を最も秘めている」とブラウン・フィルポットは話す。

コールマンは、コアクティブAIがビジュアルデータに重点を置いていることで、テキストデータを分類・選別している他の企業と差別化が図れていると主張する。「ビジュアルデータを扱うのは桁違いに難しいため、多くの企業がより簡単なテキストデータを扱っている」と彼は指摘した。

「今日のビッグデータツールは、手漕ぎボートやカヌーのようなものだ。湖を渡るのにはいいが、それで太平洋を渡るのはクレイジーであり、私はもっと大きな船が必要だと考えている」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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