イスラエルのリベラル系有力紙ハアレツによると、ネタニヤフ首相は27日の演説で今回の攻撃に言及し、「悲劇的な過ち」と述べた。
ガザ当局者によれば、今回のイスラエル軍の攻撃で少なくとも45人が死亡、200人以上が負傷した。空爆されたのは、イスラエル軍のラファ攻撃に伴う避難指示を受けて多くのパレスチナ人が集まっていた避難場所。攻撃を受け激しく炎上する現場の映像や、黒焦げの遺体についての目撃証言などを、複数の報道機関が伝えている。
イスラエル当局は、空爆はガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマス幹部の殺害を目的としたもので、事前の作戦評価では標的地域への空爆で民間人に被害が及ぶことはないとされていたと主張。イスラエル軍もX(旧ツイッター)への投稿で、空爆が行われたのは避難民が密集する人道支援指定地域の外だったとの主張を展開した。
イスラエル当局は、この攻撃でハマスの幹部であるヤシン・ラビアとハレド・ナガルの2人を殺害したと発表した。だが、米紙ニューヨーク・タイムズが伝えた現地の医師の証言や、ガザ保健省によると、犠牲者のほとんどは民間人で、主に女性と子どもたちだったとされる。
国際社会も今回の攻撃を非難している。国連中東和平プロセス特別調整官トーア・ウェンズランドは、「人々が避難場所を求めて集まっていた地区で、これほど多くの女性と子どもが犠牲となったことを深く憂慮する」と述べた。
米国家安全保障会議(NSC)の報道官も、米ニュースサイトAxios(アクシオス)の記者に対し、今回の空爆の映像について「胸が張り裂けそうだ」と語り、イスラエルには「ハマスを攻撃する権利がある」が「民間人を保護するため可能な限りの予防措置を取らなければならない」との見解を表明した。
ガザ保健省の推計によれば、昨年10月7日のハマスによるイスラエル越境攻撃から間もなく丸8カ月となる中、ガザ地区における死者数は3万6000人に迫っている。イスラエル政府は欧米の圧力に直面しており、停戦交渉は少しずつ前進を見せているものの、停戦条件の合意には至っていない。
国連の主要な司法機関である国際司法裁判所(ICJ)は先週、イスラエルにラファ軍事作戦を即時停止し、ラファ国境を開放してガザへの人道支援を認めるよう命じた。この命令を受け、西側諸国では停戦を求める動きが強まっているように見受けられる。ただ、ICJの命令には法的拘束力があるが、強制執行の手段はない。
27日には、イスラエル軍とエジプト軍がガザ・エジプト国境付近で銃撃戦を繰り広げる事態も発生。複数の報道によれば、エジプトの治安要員1人が死亡した。両軍とも交戦の事実を認めており、イスラエル軍は事実関係を調査中だと発表している。どちらが先に発砲したのかは不明だが、現場のイスラエル軍兵士はエジプト側から発砲してきたとハアレツに語っている。
(forbes.com 原文)