エリスはまた、「ESGをどう語るかという方法は変わるかもしれないが、実践自体は変わらない」と指摘。「新しい世代の労働者は、(企業に対し)社会的に認められる内容の声明や、文化的な柱がしっかりしていることを望んでいる。その中には、環境的・社会的なインパクト(影響)を意識し、配慮することも含まれている」と述べた。
ウィーン経済経営大学(WU)ビジネススクールのクリストフ・ミスカ教授は、ESG投資の事例はすでに存在し、株主には計画的なESG投資オプションがあると語る。
ミスカによると、主要な経済地域ではESG規制の機運が高まっている。たとえば、米カリフォルニア州では先駆的な法律が制定されており、欧州連合(EU)でも広範囲を網羅するESG関連指令が定められた。
ただし企業側は、ただESGについて報告書を出すだけでなく、ESGをビジネスモデルに組み込む必要がある、とミスカは話す。「そうすれば、ゆくゆくは競争的な優位性を確立し、投資を呼び込むことができる。環境面と社会面のリスク評価力も向上し、規制の強化に先回りできるようになる」
「ESGという方向性を受け入れるためには、初期投資が必要になるかもしれないが、長期的には報われてプラスになる」とミスカは語った。
ESGソフトウェアソリューションを提供するBenchmark Gensuite(ベンチマーク・ジェンスイート)の持続可能性&ESGデジタルソリューション担当シニアディレクターであるピーター・ウォルシュは、ESGにおいてはファクトがより重視されるようになり、イデオロギーが持ち出されることは減っていくとの考えを示している。だからこそ投資家にとって重要な意味を持つのだという。
投資家は潜在的なリスク情報に目を光らせ、それを考慮に入れて意思決定を行うようになるだろうとウォルシュは言う。しかし、企業の業績をどう評価するかということと、ESG格付けの方法については、議論があるとも指摘する。
「方法論については現実的な疑問が存在するし、それはもっともなことだ。しかし、業界は対応を進めていると思う」とウォルシュは語った。
(forbes.com 原文)