さらに、このCPOは後任者として可能性のある人材を見過ごし、この役職の仕事量をこなして責務を果たすのは無理だと思い込んでいた事実に気づいた、と告白した。自分なりに持っていた「成功の基準」が、事実や戦略的課題よりも個人的な好みや信念に基づいていたことを実感したのだ。そうして初めて考え方が変わり、役職と成功の条件について違ったかたちで伝えるようになったという。
適切な疑問を投げかけず、思い込みを疑わない。優れた企業は、後継者育成やキャリア開発に関して、さまざまな慣行や取り組みを整えている。たとえそうした体制があったとしても、自社のエグゼクティブ職や上級管理職が、重要な人材にとってどのくらい魅力的に映っているのか、検討の余地はある。
昇進や要職を望むリーダーは常に存在するが、その一方で、幹部職に就きたがらない人が増えている。優秀なリーダーなら、自分のチームにそうした考えを持つ人がどのくらいいるのか把握したいはずだ。そのためには次のような疑問を自らに投げかけてみるといい。
・自分の役職は優秀なリーダーたちにとって魅力的だと、実際以上に思い込んでいないか
・自分の役職に空きが出たとき、チーム内の適任者の何人が後任に名乗りを上げるか
・この役職を全うする上で「欠かせないこと」とは何か
・自分の役職を引き受けるのをためらわせる理由があるとすれば、それは何か
・何をどう変えれば、この役職がしかるべきリーダーにとって魅力あるものになるか
優秀なリーダーは、常に上を目指すものだ。また、優秀なシニアリーダーたちが、できる限り高い地位で会社に貢献したいと考えるのは理にかなっている。昇進を辞退したり、要職に背を向けたりする人がいたら、理由を尋ねよう。その決断が、組織内部にある根深い何かを暗示している可能性が高いからだ。
自分の後任を誰も望まないときこそ、会社と会社の文化、リーダーシップについて、そして、より良い未来を築いていくための変化について、より深く、より率直に議論すべきなのだ。
(forbes.com 原文)