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2024.05.29 15:00

GMも出資する「移動式EV充電車」、米新興Yoshi Mobilityが見据える未来

(C)YOSHI MOBILITY

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起業家のブライアン・フリストが2015年にYoshi Mobility(ヨシ・モビリティ)を立ち上げたとき、同社が掲げた理念は、「人々が二度とガソリンスタンドに行かなくて済むようにする」というシンプルなものだった。

テネシー州ナッシュビルに本拠を置く同社は、ガソリンを顧客に配達する事業を開始したが、やがて洗車やメンテナンス、点検、ワイパー交換などのオンサイト・サービス(出張サービス)を提供するようになった。そして今、ヨシ・モビリティは電気自動車(EV)のフリート事業者が充電器を設置したり、充電ステーションに行かなくて済む事業を展開しようとしている。

同社は米国時間5月20日、ゼネラル・モーターズ(GM)の電動商用バン、ブライトドロップ・ゼボ600を移動式のEVスーパーチャージャーに改造すると発表した。このスーパーチャージャーは最大出力240キロワットの急速充電器で、フリート業者の駐車場まで移動してEVに電気を供給する。

「これは、電力供給の問題を緩和し、EVの普及を加速するユニークなソリューションだ」とフリストはインタビューの中で述べている。彼によると、移動式のスーパーチャージャーは、1台当たり5~7台の車両を充電することができるという。

「我々のソリューションは10分で充電を完了できる上、敷地内を移動できる。もはやインフラを整備する必要はなく、我々と契約するだけで済むのだ」とフリストは言う。

ヨシ・モビリティは、移動式スーパーチャージャーを搭載したブライトドロップのバンをまずは数台運用する予定だが、2025年第1四半期中には生産を拡大し、商業化を本格化する計画だ。同社は、シボレーの電動ピックアップトラック、シルバラードにもスーパーチャージャーを搭載することを検討しているが、この技術はどの車両にも搭載可能だという。

「重要なのは、通常のEVよりも大容量のバッテリーを搭載できる車両であることだ」とフリストは述べている。彼によると、ヨシ・モビリティはGMの出資を受けているため、現状ではGM製の車両を使用することに重点を置いているという。

移動式スーパーチャージャーは、ヨシ・モビリティがもともと提供している大容量の移動式発電機を補完するものだ。この発電機は、フリート事業者の敷地内に設置し、1メガワットもの電力を供給して移動式チャージャーよりも多くの車両を充電することができる。

車両メンテナンス大手を買収

同社は、オンサイト・サービス事業を強化し、西海岸でのプレゼンスを拡大するため、車両メンテナンス会社のMobile Auto Concepts(モバイル・オート・コンセプツ)を傘下に収め、その2カ月後にはフリート事業者向けに移動式チャージャーの提供を開始した。

サンフランシスコに本拠を置くモバイル・オート・コンセプツは、タイヤのケアと交換、予防整備、マルチポイント点検、環境に優しい洗車などのサービスをオンサイトで提供することを専門としており、ZipCarやUpShift、サンフランシスコ市などがサービスを利用している。

提供サービスの拡大はヨシ・モビリティの成長の鍵を握っているだけでない。移動式スーパーチャージャーの導入によって、同社はフリート事業者のEV化推進を加速させる役割を担うようになったとフリストは主張する。「EVは、人工知能(AI)の次に人々の暮らしに大きな変化をもたらすだろう」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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