時計業界では、美しき技巧派「パルミジャーニ・フルリエ」が、その第一人者だ。
「神はディテールに宿る」。20世紀初頭の建築家ミース・ファン・デル・ローエが言ったとされるこの言葉を借りるなら、パルミジャーニ・フルリエの時計は、まさに神がかっている。創業者であるミシェル・パルミジャーニは、時計博物館に所蔵される歴史的価値のある時計を修復する時計師として活躍した人物。資料もマニュアルも存在しない時計と対話し、機構や製造技術を読み解き、パーツを製作して修復する。その卓越した技術力から、彼は“神の手を持つ時計師”と称された。
パルミジャーニ・フルリエは、彼の修復工房を発展させる形で1996年に発足した高級時計ブランド。時計修復師としてのキャリアで学び得たデザインや機構、仕上げを取り入れた時計は、高級感がありながら他とは異なる個性をもち、シンプルで静かな佇まいだが、不思議と心に引っかかる存在感がある。それだけで、目の肥えた時計愛好家を魅了するには十分だった。
美学に満ちた時計「トンダ PF マイクロローター」
パルミジャーニ・フルリエは、“美しい時計”をつくるブランド。そんな名声をさらに高めたのが、ブランド創立25周年となる2021年にデビューした「トンダ PF」だ。ケースからブレスレットへと流れるようにつながるデザインをもち、100mという防水性も含めてスペックはスポーティ。しかし佇まいはあくまでもシンプルで、忙しく動き回る秒針はあえて設けない。ダイヤルにはバーリーコーンと呼ばれる精密なギヨシェ彫りを施し、ベゼルのローレット仕上げは細かい刻みにすることで光と影の表情をつくっている。ロゴのデザインや針の形状といった細部のデザインや仕上げは、黄金比やフィボナッチ数列から導き出されているため、デザインを解析するまでもなく美しいと感じるのだ。
フラッグシップモデルとなる「トンダ PF マイクロローター」は、6時位置にあえて大きめのカレンダーを配置し、黄金比から導き出された12時位置のPFロゴとの美しい調和を演出した。もちろんカレンダーという実用機能のメリットは大きいのだが、時計愛好家の中では常に「カレンダーは必要か、不要か」が議論になる。ましてや「トンダ PF マイクロローター」は、バーリーコーン・ギヨシェという精緻なギヨシェ仕上げが施されており、ダイヤルの美しさもまた大きな魅力となっている。
そんな時計愛好家の内なる声にこたえるように、2024年の新作として「トンダPFマイクロローター」のノーデイトモデルが誕生した。大きな特徴であったカレンダーがなくなり、ダイヤルに余白が生まれたことでギヨシェ彫りの美しさがより際立っている。その極限まで削ぎ落としたピュアなデザインを、印象的に見せるのが「ゴールデン・シエナ」と命名したダイヤルカラー。
イタリア・トスカーナ地方の古都「シエナ」の豊かな大地を思わせるダイヤルカラーは、腕元を華やかに彩り、ファッションと美しく調和する。ケース径は40㎜という標準的なサイズだが、ケース厚が7.8㎜とかなり薄型であるためシャツの袖口にもすっと潜り込む。それもクワイエットラグジュアリーな個性だ。
パルミジャーニ・フルリエを手にするなら
時計愛好家から注目を集めるパルミジャーニ・フルリエだが、そのブランド規模が小さく、生産本数も限られているため、入手することは難しい。またディテールへのこだわりも深いので、その美しさとその背景にある哲学を理解するためにも、知識と経験が豊富な時計店で手に入れるのが良いだろう。2024年3月にオープンした「パルミジャーニ・フルリエ 伊勢丹新宿店」は、パルミジャーニ・フルリエの日本初で唯一の直営店。暖かみのある柔らかな色調や繊細なカーブが特徴となるコーナーデザインは、まさにパルミジャーニ・フルリエの世界を表現するもの。人気モデルを含め、スポーティモデルからドレスウォッチまで幅広いラインナップを用意するので、シンプルで美しいラグジュアリーウォッチに出会いたいなら、ぜひ足を運んで欲しい。
【パルミジャーニ・フルリエ 伊勢丹新宿店】
東京都新宿区新宿3丁目14−1 伊勢丹新宿店 本館5階 ウォッチ
10:00~20:00
Tel.03-3352-1111(大代表)
パルミジャーニ・フルリエ
https://www.parmigiani.com/ja/