けれども、わずかこの30万年ほどの間に、人類は地球の文明が現れては消えるのを目の当たりにしてきた。そして、わずかこの100年間で、人類は強力な大量破壊兵器を開発した。もし怒りにまかせて使用されれば、数十億年にわたって進化してきた生物を全滅させるほどの威力を持っているだろう。
最近の地政学的情勢を踏まえると、50年後に、このような哲学的な物思いにふける誰かがここにいるとは断言できないのだ。
もし全面的な核戦争が起きたら、生物は生き延びられるのだろうか。
米アリゾナ州立大学の地球化学者のアリエル・アンバーは、取材に応じた電子メールで、核によるハルマゲドン(世界終末戦争)は、約6600万年前の(恐竜の絶滅を招いた)K-Pg境界の天体衝突とほぼ同等かもしれないと語っている。だが、放出されるエネルギーの点から見ると、天体衝突は、全面核戦争で放出されると考えられるエネルギーの何千倍も大きかったという。核戦争は、突然変異を引き起こす恐れのある放射性物質を拡散させるという独特の「汚さ」もあるが、どちらのシナリオも人類の文明を崩壊させるには十分すぎるほどだと、アンバーは指摘している。
ほぼ全ての人類が、あっさりと姿を消してしまうだろう。