サイエンス

2024.05.28 18:00

ハルマゲドン後の地球に生物は存在するか?

米カンザス大学の古生物学者で進化生物学者のブルース・リーバーマンは、取材に応じた電子メールで、人類全体のおよそ99.9%が命を落とし、人類文明が再興することは二度とないだろうと考えていると語っている。人類は生き残れないか、あるいは、生存した少数の人々にとって、生き残らなかった方が幸せだったと思われるほど状況が悪化するかのどちらかだと、リーバーマンは続けた。

地球の生物圏は存続できるか?

アンバーによると、地球の生物圏は大きな打撃を受けながらも存続するだろう。放射性降下物の影響を別にすれば、核戦争は約6600万年前のK-Pg天体衝突ほど深刻にはならないだろうと、アンバーは続ける。世界規模の核の応酬によって生じる放射性降下物については、不明な点が多いため、その影響を正確に評価するのは困難だという。だが、多くの動物が生き残ると思われ、進化が「リセット」されて微生物に戻ることはない可能性が高いと、アンバーは述べている。

核兵器によるハルマゲドンは、巨大な小惑星や彗星の衝突、太陽系の近くで発生したガンマ線バーストや超新星爆発など、地球を襲った「惑星キラー(多大な脅威を及ぼす自然現象)」と比べてどうだろうか。

リーバーマンによると、過去に大量絶滅が起こるたびに、多様性が以前のレベルに達し、生態系が絶滅前の複雑性のレベルに戻るのに少なくとも1000万~2000万年を要したものの、生物はやがて復活した。

だとしても、世界規模の核戦争による大量殺戮は当初、生物多様性の著しい損失を引き起こすと考えられる。陸生の動植物種の約70~95%、海生種の約25~50%が絶滅するだろうと、リーバーマンは説明している。

ここで覚えておくべきは、地球の運命が急変する可能性があることだ。

さらには、人類が築き上げてきた世界の文化的遺産も、瞬く間に消し去られる恐れがある。これは、人類が現在直面している現実なのだ。

もし人類が自らで自らを絶滅させた場合、生き残った動物種の中に、人類の代わりを務められるように進化する動物がいるだろうか。

電波望遠鏡の建造のようなことをする、別の知的生物種が現れるかどうかは、まだわからないと、アンバーは答えている。そのような動物種が進化するのがどれほど容易かや、この進化を起こすために、どれだけのことが「良い方向に」向かう必要があるかについては不明だと、アンバーは続けた。

結論は?

技術文明の出現と拡大は、人類の高い知能だけでなく、手の構造にも由来する独特の成果だと、リーバーマンは指摘する。人類の手のおかげで、道具の製作と利用に加えて、農業の導入が可能になった。人類がこの最後の段階に進むのに10万年以上かかったという。それから数千年を経てようやく、科学技術が実際に普及し始めたと、リーバーマンは述べている。


forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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