2010年代終盤~2020年代初頭 天然ガスと再生可能エネルギーが優位に
2010年代後半から2020年代前半にかけて、米国の電力における天然ガスと再生可能エネルギーの優位性は確固たるものとなった。石炭火力発電所の廃炉が進み、環境に優しいエネルギーへの転換が進んだことから、2020年までに石炭消費量は1京700兆BTUに激減した。一方、天然ガスの消費量は2020年に3京2600兆BTUに達した。天然ガスは安定供給電力として、不安定な再生可能エネルギー源のバランスを取る役割を果たした。
再生可能エネルギーは目覚ましい成長を遂げ、2020年の消費量は1京2100兆BTUに達した。特に風力、太陽光、バイオマスが大きく貢献した。
最近の傾向 成長を続ける天然ガスと再生可能エネルギー
2023年には石炭の消費量が若干回復し、天然ガスの消費量は過去最高の3京6500兆BTUを記録した。再生可能エネルギー設備への継続的な投資により、同エネルギーの消費量は2023年に過去最高の1京4700兆BTUに達した。結論
2000年から2023年にかけて、米国の電力事情は劇的に変化した。石炭消費量が1京3000兆BTU減少した一方で、天然ガス消費量は1京3400兆BTU増加した。再生可能エネルギーの消費量は8400兆BTU増加した。だが、これは同一条件での比較ではないことに注意しなければならない。発電のために石炭や天然ガスを燃やすと、エネルギーの多く(60~70%)が熱として電気に変換される際に失われる。ところが、再生可能エネルギーはそうではない。したがって、電力について議論する場合、石炭や天然ガスの消費BTUと再生可能エネルギーの消費BTUを直接比較することはできない。
また、再生可能エネルギーは安定供給電力ではない。天然ガスは石炭火力発電所を完全に置き換えることができる一方で、再生可能エネルギーは追加的な需要を満たすのに適している。その結果、天然ガスと再生可能エネルギーは相乗効果を発揮し、今世紀に入って石炭消費が大幅に減少することとなった。
こうした傾向は、技術の進歩や経済的要因、政策などにより、二酸化炭素排出量削減への取り組みがさらに進むにつれて今後も続くと予想される。米国の電力業界は、柔軟で信頼できる燃料としての天然ガスに支えられながら、再生可能エネルギーが中心的な役割を果たす未来に向かっている。
(forbes.com 原文)