ジョージ・ブレットは、1970年代、1980年代、1990年代と、異なる3つの年代で首位打者のタイトルを獲得した唯一の選手だが、今回のヘリテージ・オークションでは2つの品に入札が殺到。彼のルーキーカードで、PSAに登録されている最高評価「Gem Mint 10」のカードは11枚しかないが、そのうち1枚の落札額は15万ドル(約2350万円)に達した。一方、ブレットが1992年シーズンに使用した「ルイスビルスラッガーC271」バットは4万8000ドル(約750万円)で落札された。
メジャー歴代最多通算安打記録を持つピート・ローズがシンシナティ・レッズで使用した1964年製のヒラリック&ブラズビー社のバットは、さらに高額の6万9000ドル(約1080万円)で落札された。
今回のオークションではビニールパックが未開封のアイテムにもかなりの高値が付けられた。1961-62シーズンのFleer(フリーア)バスケットボールカード付き風船ガム24枚入り未開封ボックスの入札額は37万2000ドル(約5840万円)に達した。この限定ボックスには、ウィルト・チェンバレン、ボブ・クージー、エルジン・ベイラー、オスカー・ロバートソン、ビル・ラッセル、ジェリー・ウェストのようなバスケットボールの殿堂入り選手が含まれている可能性が高い。
しかし、多くのオークション参加者にとって一番の興味は野球だった。
21年におよぶキャリアをずっとワシントン・セネタースで過ごしたウォルター・ジョンソンは、1936年に設立された野球殿堂入りに初めて選ばれた5人のうちの1人だ。翌年野球殿堂入りしたサイ・ヤングに次ぐ歴代2位の通算417勝を挙げたジョンソンは、ベーブ・ルースが1920年に出版した『The Home Run King』という本の中で「最高の投手」と称されている。
ジョンソンが着用したユニフォームは2着しか現存していない。野球殿堂に展示されている1927年のものと、今回のヘリテージ・オークションに出品された1920年のものだ。後者が以前、2006年にオークションに出品された時の落札価格は35万2000ドルだった、
1920年4月29日、マンハッタンにあったポロ・グラウンズのわずか5000人ほどの観客を前に、ワシントン・セネタースがニューヨーク・ヤンキースに2対1で勝利した時、ジョンソンがこのユニフォームを着用していたことが写真で証明されている。ヤンキースのベーブ・ルースはこの日、1本のみの安打を9回裏に放ってチーム唯一の打点を上げ、ジョンソンの完封を阻止した。
一方、ジョンソンは通算3509個の奪三振数(歴代9位)のうち8つをこの試合で奪った。