また、米国では2024年末の初打ち上げに向け、新型無人補給機「ドリームチェイサー」の各種テストが進められている。スペースシャトルに似たこの機体は、宇宙から帰還する際は滑走路へ水平着陸するが、「アジア初の水平型宇宙港」を目指す大分空港が、その着陸を誘致しようとしている。
ドリームチェイサーの運用が予定どおり実施され、国内の法的整備が整えば、ISS(国際宇宙ステーション)から日本への直行便が就航する可能性が高まる。また、宇宙を経由して世界中のあらゆる都市を1時間以内で結ぶ「二地点間高速輸送」の実現にもつながるだろう。
過去になく積極的な法改正
5月16日に開かれた政府の宇宙政策委員会では、2024年度の宇宙開発の重点事項案が示されたが、ここには注目されるポイントが3つある。1つ目は、 多岐に渡る宇宙事業に関して言及されたことだ。日本には「宇宙活動法」があるが、その正式名称は「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律」。つまり、有人宇宙船を持たない日本では、有人機に関する法令がない。しかし今回、この「人工衛星等」に関する法令の適用範囲が変わることで、ヒトを乗せる「有人宇宙船」まで拡大し、許認可制度の対象につながる可能性がある。
2つ目は、再使用型のロケット開発を促進し、その運用に関わる法整備に臨もうとしている点。米国のスペースX社が運用するロケット「ファルコン9」の第1段(ブースター)は、高度70kmで切り離されると自律航行によって特定ポイントに着陸する。ブースターは20回以上再利用され、打ち上げコストを大幅に低減することに貢献。その費用は1回の打ち上げにつき6700万ドル(104億5200万円/1ドル156円換算)。他社の同等ロケットの半額程度だ。