また、シエラ・スペース社はこのドリームチェイサーを本来の計画どおり有人宇宙船にモディファイする予定だ。であれば、種子島から打ち上げられたクルーがISSを経て、大分に帰還することも可能になる。
ドリームチェイサーを活用した同様なプランはESA(欧州宇宙機関)でも進められている。ESAは南米のフランス領ギアナにある「ギアナ宇宙センター」からロケットを打ち上げているが、同基地からドリームチェイサーを欧州の新型ロケット「アリアン6」で打ち上げることを検討しているのだ。これが実現すれば史上はじめて欧州から有人宇宙船が打ち上がることになる。
シエラ・スペース社とタッグを組めば、もう1つ可能性が広がる。同社は現在、ジェフ・ベゾス率いるブルーオリジン社などとともに商業宇宙ステーション「オービタル・リーフ」(「軌道上の岩礁」の意)を開発中であり、2027年に最初のモジュールを打ち上げようとしている。
このステーションは民間人の宇宙旅行も視野にいれた「複合型ビジネスパーク」であり、その往還機には当然ながらドリームチェイサーが使用される。 つまり、種子島からドリームチェイサーに乗って打ち上げられた旅行者がオービタル・リーフに滞在したのち、大分に帰還するというプランも考えられる。ちなみにこのステーションの建設には三菱重工業も参画している。
日本から宇宙へ行くにはまだ時間が掛かりそうだが、ドリームチェイサーの運用がはじまり、その新規航路が開設されれば、宇宙から日本へ帰還できるようになる日は意外と近いかもしれない。
【お詫びと訂正 2024年6月4日9時30分】
記事初出時に間違いがありました。正しい文章は以下のとおりであり、修正いたしました。ご迷惑をおかけした読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。
誤
1つ目は、有人宇宙船に関して言及されたことだ。
正
1つ目は、多岐に渡る宇宙事業に関して言及されたことだ。
誤
同機は、米ULA社の新型ロケット「ヴァルカン」の最頂部に搭載され、通常のロケット同様、垂直に打ち上げられる。そのため、この機体を日本国内から打ち上げることは非現実的だ。
正
同機は、米ULA社の新型ロケット「ヴァルカン」の最頂部に搭載され、通常のロケット同様、垂直に打ち上げられるが、このドリームチェイサーを日本のH3ロケットに搭載し、日本から打ち上げることが現在模索されている。