実際、大分空港からは同様な方法でロケットが打ち上げられるはずだった。ヴァージン・グループの姉妹会社ヴァージン・オービット社は、有人宇宙船ではなく、ロケット「ランチャーワン」を航空機747から空中射出することにより、クライアントの人工衛星を地球周回軌道に投入するサービスを展開していた。そのアジア拠点として、大分空港が選定されていたのだ。
しかし、2023年1月、英国でのランチャーワンの打ち上げに失敗したことを契機に、資金調達の道が閉ざされたヴァージン・オービット社は同年4月に破綻し、チャプター11(日本の民事再生法に該当)を申請した。
その後、スペースシップ2を大分から打ち上げるという話は聞こえてこない。現在、ヴァージン・ギャラクティック社の経営状態は苦しく、3年前は60ドルだった株価は現在1ドル以下にまで下落している。同社にはいま、日本に事業を展開する余裕はなさそうだ。
ISSから日本への直行便が就航する?
一般的に「宇宙船」と呼ばれる宇宙機には2種類ある。ヒトを乗せる有人宇宙船と、物資を輸送する補給船(カーゴ)だ。米国の民間宇宙開発企業シエラ・スペース社の「ドリームチェイサー」は、ISSに物資を輸送するカーゴとして2024年末にデビューする予定。当初この機体は、ISSへ人員を輸送するための有人宇宙船として開発が始まったが、NASAがこの機体を選定しなかったため、同社は自己資本によって、まずはカーゴとして開発製造を進めていた。
このドリームチェイサーを、大分空港が誘致しようとしている。同機は、米ULA社の新型ロケット「ヴァルカン」の最頂部に搭載され、通常のロケット同様、垂直に打ち上げられるが、このドリームチェイサーを日本のH3ロケットに搭載し、日本から打ち上げることが現在模索されている。