3つ目は、日本から打ち上げられた宇宙機(有人宇宙船を含む)が日本に着陸する、または日本と他国の間で離発着することを想定している点だ。
スペースX社は現在、史上最大の超大型ロケット「スターシップ」(全長121m)のフライトテストを繰り返している。この機体には100名以上が搭乗できるとされているが、同社の主宰であるイーロンマスク氏はこの機体を、世界中のあらゆる2地点を結ぶ「二地点間高速輸送」にも使用する構想を持つ。
打ち上げられた機体は高度100km以上の宇宙に到達するが、地球周回軌道には乗らず、大陸弾道ミサイルのように他の地点へ向かう。これを弾道飛行という。この航法であれば東京からハワイを30分、世界中のあらゆる都市間を1時間で移動できる。
マスク氏は、乗客やペイロード(積載物)が大量に積載できるこの超大型宇宙船が完成すれば、打ち上げコストは従来の100分の1まで下がるという。それが本当ならニューヨークから日本まで所要時間1時間のチケットを1億円程度で購入できるだろう。ただし、その需給バランスが成立するかは謎だ。
日本から有人宇宙船が飛ぶ?
今回はじまる法改正は、2026年までの具体化を目指すとされている。この改正によってどんな変化が生まれるのか?国内では有人宇宙船の研究開発を一部のベンチャーが続けている。今回の法改正はその開発の方向性を示すためにも役立つ。しかし、国内ベンチャーの宇宙船開発はいまだ模型レベルであり、実現可能性は見えていない。
では、米国の宇宙船が日本から打ち上げられる可能性はあるか? その計画はまだない。スペースX社の「クルードラゴン」やボーイング社の「スターライナー」をロケットともに国内に誘致し、日本から打ち上げることは非現実的だ。