スタートアップ

2024.06.04 13:30

AIクラウドで企業間紛争のない世界へ

河西:確かに、どこまでアクセルを踏むのかという話はよくしますよね。株主のなかだと慎重派が多いので、僕は全体のバランスをみて「もっとやっていこう」という側に立つことが多い。チャレンジングな方向性を提起することに価値があると思っています。投資してもうすぐ1年ですが、スタートアップでは計画の半分も達成できないケースが多いなか、リセは8割以上が計画通りに進んでいて素晴らしい。

藤田:「LeCHECK」の導入社数は昨年倍増して、今は2300社を超えました。情報感度の高い企業は導入を始めていますが、広く一般にという意味では、認知も含めてこれからの段階。とにかくプロダクトにこだわって推進していきたい。争いごとって本当に心が疲弊するんですよね。私自身、お客様のために勝訴することにやりがいを感じて弁護士をやってきましたが、争いになって揉めると、「もう二度とあの会社とは付き合わない」みたいな事態になったりしてしまう。ただ、取引に関連する争いごとは、事前に契約書をきちんとすれば防ぐことができる場合が多いんです。

河西:藤田さんは前職で企業間紛争を扱う訴訟弁護士だったんですよね。投資前の調査で関係者にヒアリングしたら、すごく苛烈にバシバシとやっていたと聞きました。でも、今はほんわかと優しくて、そうは見えない。心のなかでは、どっちが本当の藤田さんなんですか?

藤田:どうでしょう(笑)。でも、弁護士時代の自分を封印している自負はありますね。そういうモードになる必要がない世界をつくりたいわけですから。

河西:そのギャップが素敵です。プロダクトのよさが世の中に伝われば、さらに成長が加速していくと思っています。投資家としてしっかりと応援していきます。


河西佑太郎◎Angel Bridge代表パートナー。2005年東京大学大学院農学系研究科修士修了(遺伝子工学)。11年シカゴ大学MBA。ゴールドマン・サックス証券、ベインキャピタル、ユニゾン・キャピタルを経て15年より現職。

藤田美樹◎リセ代表取締役社長、弁護士(日本・米国ニューヨーク州)。東京大学法学部卒、デューク大学ロースクール卒(LLM)。2001年現 西村あさひ法律事務所入所。13年パートナー就任。18年に退所、リセを設立。

文=眞鍋 武 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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