同法案は、ビットコインを含むほとんどの暗号通貨を、証券ではなく商品として分類することにより、商品先物取引委員会の監督下に置くものだ。米証券取引委員会(SEC)は、バイデン政権下で業界を厳しく取り締まってきたが、この法案はその方向性を変えることになる。
支持派の議員らは、この法案は「デジタル資産に対する規制権限を明確にする」ものだと述べる。デジタル資産小委員会の委員長を務める共和党のフレンチ・ヒル議員は、この法案を「議会史上最も重要なデジタル資産関連法案」と呼び、ドナルド・トランプ前大統領もこの法案を支持していると、以前フォーブスに語っていた。
SECによる暗号資産業界に対する厳しい取り締まりは、バイデン政権に対するトランプの新たな攻撃材料となっている。トランプは、今月初めに開催した暗号資産のファン向けの夕食会で、「自分に投票した方がいい。さもなければバイデン政権による規制強化に直面する」と警告したと政治ニュースサイトのポリティコは報じていた。
SECのゲイリー・ゲンスラー委員長は22日に下院の法案に反対し、この法案は、暗号資産の発行者が自らの意思で仮想通貨を証券ではなく商品に分類できるようにするもので、SECの監督を逃れられるようになると主張した。また、SECがその分類を確認するための期間が60日間に制限されることに不満を表明した。
「法案で想定されている認証プロセスは、暗号資産分野のみならず、より広範な100兆ドルの資本市場においても、投資家保護を危険にさらす可能性がある」とゲンスラー委員長は主張した。
トランプの選挙キャンペーンは21日から暗号資産による政治献金の受付を開始し、支持者に対し「クリプト・アーミー(暗号資産軍)を築こう」と呼びかけた。
民主党が支配する上院でもこの法案が可決されるかどうかはまだ分からない。しかし、同法案を支持した8人の下院の民主党議員は21日のメモで、上院の同僚らに法案の支持を促した。さらに、16日には、チャック・シューマー上院院内総務を含む上院の民主党議員11人が、共和党と共にSECの暗号資産会計ルールである「SAB121」を覆す規則案に賛成票を投じていた。この決議は下院でも可決済みで、両院で成立したことになる。しかし、バイデン大統領は、この決議に拒否権を発動すると述べていた。
トランプは大統領在任中に暗号資産業界を批判し、2019年には「ビットコインやその他の暗号通貨は好きではない」と述べていた。しかし、近年はその姿勢を改め、自分の肖像を使ったNFTのトレーディングカードを発行したほか、3月のインタビューでは「ビットコインや暗号資産には多くの利用ケースがあり、現時点ではそれを人々から取り上げたいとは思わない」と発言していた。
(forbes.com 原文)