「K」という文字の上側のラインは、現在の経済環境で大きな利益を上げている少数の人々を、下側のラインは家計の急速な悪化を感じている他のすべての人々を表している。
株式、不動産、その他投資資産を保有する富裕層は、純資産と自己資本が増加し続け、インフレの影響からしっかり守られている。これに対し、低・中所得層は食料品、ガソリン、家賃といった生活必需品のコスト上昇に家計が圧迫され、しかも賃金の上昇がインフレに追いついていない。
投資資金がない
このところ株式市場は史上最高値の更新を続け、裕福な投資家にとっては力強い成長を示している。しかし、多くの中・低賃金労働者の賃金の伸びは物価上昇率を下回っており、購買力の低下を招いている。若いうちから継続的に投資を行えば、複利効果で資産を増やせる。投資で得た利益が将来の利益を生み、何もしなくても雪だるま式に資産が大きく膨らんでいくのだ。
物理学者アルベルト・アインシュタインは、「複利は世界8番目の不思議だ。理解した者はそれを手に入れ、理解しない者はそれを支払う」と言ったとされる。この名言は複利がもつ強力な影響力を浮き彫りにしている。複利投資では元本だけでなく、時間の経過とともに累積する利息も増えていく。投資する資金を持たない人は、経済的に後塵を拝するしかなくなる。
雇用市場で遅れをとる
米国では富裕層と貧困層の所得格差が数十年にわたって拡大の一途をたどっている。2021年には所得上位1%の超富裕層が全米の富の32.3%を占め、下位50%が保有する資産は全体のわずか2.6%にすぎなかった。せっかく大学を卒業しても、多額の学生ローンを抱えていれば経済的な理由で学位を必要としない職に就くほかないかもしれない。仕事と労働者の未来についてデータに基づいた研究と実践を行っているシンクタンクのバーニング・グラス・インスティテュートが最近行った分析によると、大卒者の52%が学位を取得した翌年に不完全雇用状態となっていた。さらに、卒業直後に不完全雇用だった労働者の45%は、キャリアを積んだ10年後も不完全雇用のままだった。