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2024.05.25 09:15

マイクロソフト、グーグル、Uberで学んだ Figma山下祐樹CPO「私の働きかた」

FigmaのChief Product Officer(CPO; 最高製品責任者)を務めるYuhki Yamashita(山下祐樹) Courtesy of Figma

国境を超えて人材の流動性が高まる今日、日本発でグローバルにリーダーシップを発揮している人たちがいる。Yuhki Yamashita(山下祐樹)もその一人だ。山下は、米ハーバード大学を卒業後、テック大手や、“ユニコーン”と呼ばれる評価額10億ドル以上の未公開企業(当時)などを経て、現在は、米プロダクト・デベロップメント企業「Figma(フィグマ)」のChief Product Officer(CPO; 最高製品責任者)を務めている。同社は、デザインとプロトタイピング用ツール「Figmaデザイン」や、デジタルホワイトボードツール「FigJam」などの製品・サービスで知られており、ユニコーンとしても注目を集めている。

競争が激しく、転職者も多いテクノロジー業界で、山下が得た知見と、その経験からたどり着いた「仕事論」とは。自身のキャリアから、AI(人工知能)がデザインにもたらす影響、そして仕事の未来まで幅広く語ったインタビューをノーカットでお届けする(編集部註:英語で行われたインタビューを翻訳・編集しています)。


──まずは、今までのキャリアについて伺えれば。山下さんはハーバード大学を卒業後、マイクロソフトを経てグーグル、Uber、そして今はFigmaでChief Product Officer(CPO; 最高製品責任者)を務めておられます。各社での役割と、そこで得た学びがあれば教えていただけませんでしょうか。
 
山下祐樹(以下、山下):マイクロソフトでは、ウェブメールサービス「Hotmail(ホットメール)」の開発に携わっていました。それをOutlook.comにブランド変更するプロジェクトの一員でした。当時、マイクロソフトにはメール担当チームが10もありました。私は、ユーザーに新機能を案内するUX(ユーザー体験)デザインの担当でした。

主に2つのことを学んだと思います。1つ目は企業文化。その頃は箱入りパッケージソフトウェアを出荷する文化が残っていたので、念入りなソフトウェアテストや、細部へのこだわりが強く、すべてを“正しく”という文化でした。今のマイクロソフトは企業文化が少し変わったかもしれません。でも当時の私の仕事は、細部まで計算された完璧な仕様書を書くことでした。不備があった際に、仕様の変更を承認してもらう手続きも煩雑でした。あらゆる仕様が完璧でなくてはいけない。そういう厳しい企業文化なので、細部に注意を払う大切さを学びましたね。ユーザーにとっては大切なことだからです。だからこそ、社員は徹底的に考え抜かなければなりませんでした。

2つ目が、「サーバント・リーダーシップ(組織に奉仕するリーダー)」。私の役目は、エンジニアが気持ちよく働けるようにすることでした。エンジニアの代わりに会議でメモを取ったり、困っていることを手伝ったり。プロダクト・マネジャーは「製品のCEO」だと思われがちですが、マイクロソフトでは違いました。
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文=井関庸介

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