【お知らせ】Firefoxでの記事閲覧について

健康

2024.05.30 17:05

初夏からの熱中症対策は「食事の工夫」

Getty image

年々、夏の気温が上昇し熱中症の危険性が高まっているが、正しい熱中症対策を心得ている人は意外に少ないことが、大正製薬の調査でわかった。水分やミネラル分の補給はよく言われるが、そうした断片的な知識では対処できない。総合的な知識を備えて、今の時期から暑さに強い体を作ることが重要だと、済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師は解説する。

大正製薬が1200人を対象に熱中症対策に役立つ栄養素の知識を尋ねたところ、ナトリウムやビタミンCはよく知られていたものの、すべて把握していた人はわずか27人。すべて知らないと答えた人はおよそ3割にのぼった。そこで同社は、正しい熱中症対策としての栄養の摂り方について、谷口医師の話を公開した。熱中症対策として摂取すべき栄養素は、たんぱく質、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、タウリン、ロイシン、ビタミンB1、カルシウム、ビタミンCの9つ。これらを時期に応じてうまく摂取することが重要となる。
済生会横浜市東部病院患者支援センター長/周術期支援センター長/栄養部部長医師、谷口英喜氏。

済生会横浜市東部病院患者支援センター長/周術期支援センター長/栄養部部長医師、谷口英喜氏。


暑くなる前の長期対策
まず、まだそれほど暑くない今の時期は、長期対策として「貯水しやすい身体」と「暑熱馴化」を意識した栄養素を摂取して暑さに備える。身体の水分は、約半分が筋肉に貯蔵される。そこで筋肉を増やすたんぱく質の摂取が大切になる。また血管内に水分を引き込む力を保つのに必要なたんぱく質を合成するアミノ酸「ロイシン」も効果的。そこで、ロイシンが豊富な肉や魚を積極的に食べるといい。

暑熱馴化、つまり暑さに慣れる身体を作るには、タウリンとビタミンC。栄養ドリンクの成分として有名なタウリンは、身体の深部温度を下げる働きもある。抗酸化作用のあるビタミンCは体内の活性酸素を減らして細胞を守り、暑熱馴化をサポートする。魚介類と野菜のスープが水分補給にもなり有効だ。

暑くなってからの短期対策
汗で水分のほかに電解質やビタミンが失われるので、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ビタミンB1を積極的に摂る。気をつけたいのは、水だけ大量に飲むのは体内の塩分濃度を極端に下げるのでかえって危険だということ。塩飴や梅干しで塩分を摂取するのがよいが、かならず、塩飴または梅干し1個に対して水をコップ1杯飲むこと。

カリウムは尿を出しやすくして体温を下げる。ビタミンB1は熱中症の症状を緩和させ、暑さによる疲労感をやわらげてくれる。そこで、ビタミンB群とビタミンCもいっしょに採れる果物や、トマト、きゅうり、かぼちゃといった夏野菜と豚肉のカレーがお勧め。

熱中症になったら
体温が上昇して身体に不調が表れ、熱中症が疑われたときは、固形物の摂取は避ける。とくにたんぱく質は体温を高めてしまうので注意。水、ナトリウム、カリウムを迅速に補給できる経口補水液を、できるだけ早い時点でたくさん飲むことだ。ペットボトルのキャップを自力で開けられないようなら重症なので、すぐに病院へ。

あとは、長期的対策として規則正しい生活で自律神経を整えておくことも大切だ。こまめな水分補給は必須。1日に食事で1リットル、飲水で1リットルの合計2リットルが目安。もちろん、日傘や帽子などの物理的な暑さ対策も忘れずに。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事