両社とも消費者向けビジネスを生業とするディフェンシブ銘柄だが、KOの株価売上高倍率の5.9倍は、COSTの1.4倍と比べて高い。これは、KOの優れた収益性に起因している。本稿では、この2社の過去の収益成長率、リターン、バリュエーションなど多くの要素を比較した。
1. 株価パフォーマンスの比較
KOは2021年1月上旬の55ドル台から現在65ドル前後まで20%の上昇を見せたが、COSTは同期間に375ドル台から795ドル台まで110%の極めて強い上昇を見せた。S&P500種株価指数がこの約3年間で約40%上昇したのと比較すると、この上昇率は大きい。しかし、KOとCOSTの上昇は一貫しているとは言い難い。KOのリターンは2021年に8%、2022年に7%、2023年にマイナス7%、COSTのリターンは同期間にそれぞれ51%、マイナス20%、45%だった。これに対し、S&P500のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、KOは2021年と2023年にS&P500を下回っている。
原油高と金利上昇を伴う現在の不透明なマクロ経済環境を考えると、KOとCOSTが力強い上昇を見せる可能性はあるのだろうか? 今後3年間は、KOの方がCOSTより良い結果を出すと私たちは考えている。
2. 売上高の成長はコストコに軍配
コカ・コーラの売上高は、2020年の330億ドル(約5兆1000億円)から2023年には458億ドル(約7兆1000億円)へと年平均11.6%で増加している。一方、コストコの売上高は、この期間に1670億ドル(約26兆円)から2420億ドル(約38兆円)へと13.4%拡大した。コカ・コーラでは、販売価格が改善したことで、家庭向け販売と飲食店販売の両方のチャネルが成長した。特に北米と中南米市場は、販売価格の向上により同社の成長を牽引している。また、最近では、家庭向け販売よりも飲食店販売の方が牽引力を増している。これは、インフレ率の上昇と消費者の消費行動の変化に起因している。