世界の暗号資産業界は、ここ数年乱気流に襲われており、サム・バンクマン=フリードが率いていた取引所のFTXは、2022年に破綻し、バイナンスの創業者の趙長鵬(チャンポン・ジャオ)は2023年初頭から同社の顧客の資産を不正送金した疑惑が浮上した後、今年4月に反マネーロンダリング(資金洗浄)法違反の罪で禁錮4カ月を言い渡された。
この2人の失墜を受けて、暗号資産の取引所ビジネスは、より透明でコンプライアンスに準拠したモデルへと必然的に移行している。この変革は、米証券取引委員会(SEC)が1月にビットコインの現物ETFを承認し、ビットコインの価格がここ1年で約2倍に上昇したことにも後押しされている。ブラックロックやフィデリティなどの金融大手が提供するこれらのETFは、約118億ドル(約1兆8000億円)の資金を流入させて、2022年に相次いだ破綻で評判を落としていた業界に新たな信頼性をもたらしている。
バイナンスは、今でも取引高で世界最大の暗号資産取引所であることに変わりはないが、フォーブスは同社の規制上の違反を理由に、このランキングから除外した。バイナンスは過去3年間にインド、英国、日本を含む少なくとも17カ国から追放されているが、その理由の1つは、固定した本社を持たないため、事業の大部分において当局の承認を受けていないことが挙げられる。
その他、セーシェルを拠点とするBitmexやOKX、MEXC、Kucoinといった大手取引所に関しても、当局の監視が信頼に足るものでなく、内部統制が脆弱であると判断したため、ランキングから除外した。
本年度の1位に選ばれたコインベースを筆頭とする20の取引所の大半は、金融市場に対する監視の目が行き届いている国に拠点を置いており、上位3社はすべて米国を拠点としている。フォーブスは、合計646の取引所やマーケットプレイスを9つの指標から評価し、20社に絞り込んだ。
本年度の上位20社は下記の通り(評価指標などの詳細は英語版記事で確認できる)。
1. Coinbase(コインベース)/米国
2. CME Group(CMEグループ)/米国
3. Robinhood(ロビンフッド)/米国
4. Upbit(ユービット)/韓国
5. Deribit(デリビット)/ドバイ
6. Bitstamp(ビットスタンプ)/ルクセンブルク
7. Crypto.com(クリプトドッドコム)/シンガポール
8. Kraken(クラーケン)/米国
9. Fidelity(フィデリティ)/米国
10. LMAX Digital/ジブラルタル
11. Gemini(ジェミナイ)/米国
12. bitFlyer(ビットフライヤー)/日本
13. Bitbank(ビットバンク)/日本
14. GMO Japan(GMOコイン)/日本
15. Paxos(パクソス)/米国
16. Luno(ルーノ)/英国
17. Bithumb(ビッサム)/韓国
18. HashKey(ハッシュキー)/香港
19. bitpanda(ビットパンダ)/オーストラリア
20. Coincheck(コインチェック)/日本
2024年のランキングの首位に立った米国の上場企業であるコインベースは、取引所であるだけでなく、トップクラスの暗号資産のカストディアン(資産の管理人)でもある。同社は、世界のビットコインとイーサリアムの供給量の約13%、取引所で保有されている全暗号資産の40%を管理しており、このことは、同社の信頼性の重要な指標となっている。コインベースは、SECとの間に問題を抱えているが、規制面に関しては本ランキングの最高点を獲得した。