欧州

2024.05.22 12:30

数万人以上の追加動員進めるウクライナ軍、問題は装甲車両不足

ウクライナ軍は現時点ではゴルフカートのような車両で戦闘に向かう気はないだろうが、車両不足が深刻化すればそうも言っていられなくなるかもしれない。

2年3カ月前にロシアの全面侵攻が始まって以来、ウクライナは支援諸国から装甲車両を7500両ほど受け取ったほか、長期保管していたソ連時代の古い装甲車両数千両を修復して再就役させた。侵攻を受けた時点ではウクライナ軍では装甲車両数千両が現役で、それにこれら1万両あまりが加わった。

だが、オリックスによるとウクライナ軍もこれまでの戦闘で戦車、装甲戦闘車両、歩兵戦闘車両、装甲兵員輸送車だけで2500両あまり失った。そのうえ軍の規模が2倍超に拡大し、全体的な機械化も進められているので、装甲車両への需要は増える一方となっている。

米国はウクライナ軍の装甲車両不足の軽減に寄与している。ロシアに融和的な共和党議員らによる半年以上にわたる妨害を経て、ようやく4月下旬に610億ドル(約9兆5000億円)近くの新たなウクライナ向け支援予算が成立して以降、その資金を活用した最初の3つの軍事援助には、M2ブラッドレー歩兵戦闘車、M113装甲兵員輸送車、装甲トラック計数百両も含まれる。

しかし、数百両では少なすぎる。ウクライナ軍では兵員の増加と比べて機械化のペースがかなり遅れていると言っていいだろう。新たに編成されている旅団の大半が歩兵旅団なのがその証拠だ。

ウクライナ側が防御に徹し、敵の火力にさらされながら迅速に前進する必要がない限りは、装甲車両の不足は破滅的なものにはなりそうにない。だが、ウクライナ側が攻勢に転じて、ロシアに占領されている17%前後の国土を解放しようとするのであれば、新たに動員する兵士のためにもっと多くの装甲車両が必要になるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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