欧州

2024.05.22 10:00

ロシア軍の車両不足がますます深刻化 70年前の軽装甲車両で無謀な突撃

BTR-50装甲兵員輸送車(Shutterstock.com)

ロシアはやむを得ず、2023年初め、屋外で保管していたBTR-50を再利用し始めた。ロシア軍の指揮官たちも、さすがに当初はBTR-50を前線には投入せず、後方の支援任務に振り向けていた。しかし2023年末になると、BTR-50はウクライナ東部の突撃部隊の間に姿を見せ始めた。
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それから半年の間に、ロシア軍はBTR-50を少なくとも5両戦闘で失ったことが、オランダのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)分析サイト「オリックス(Oryx)」のアナリストによって確認されている。うち1両は19日かその少し前、ドネツク州ノボミハイリウカの西にあるウクライナ側の防御線を攻撃した際、ジャベリン対戦車ミサイルの直撃を受けた

この方面の防御線を維持する第79独立空中強襲旅団の対戦車ミサイル兵は、血に飢えていることで有名だ。第79旅団に対しては、厚さ数百mmの装甲を備えるT-72戦車を送り込むのでさえ危険だろう。まして、わずか10mmという薄い装甲のBTR-50を送り込むのは自殺も同然だ。

BTR-50による破滅的な突撃は、ロシア軍の抱えるより広範な問題を浮き彫りにしている。ウクライナには、米国と欧州から数百億ドル規模の新たな軍事援助の一部が届き始めている。ロシア側はこうした援助が到着する前に少しでも多くウクライナの領土を奪うつもりだったのか、2週間ほど前、ウクライナ北東部の国境を越えて南進し、新たな攻勢に乗り出した。

ロシアとの国境から40kmしか離れていないウクライナ第2の都市、ハルキウを最終目標に据えている可能性もあるこの攻勢で、ロシア軍は当初、国境沿いでいくつかの村を一気に制圧した。しかしその後、米国から届いた新たな砲弾を発射するウクライナ軍の機械化旅団の壁に阻まれた
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ロシア軍がウクライナ南部での陣地戦と並行して、東部と北東部で攻勢を継続するのは困難だということが明らかになった。フロンテリジェンス・インサイトによれば、北東部でロシア軍が大きな前進を遂げるには「大量の車両」が必要になる。だが、ロシアは毎月数万人の新兵を動員しているものの、これらの兵士に十分な近代的な車両をあてがうことはできていない。

BTR-50は、博物館から直接引っ張り出したようなものを除けば、ロシア軍で最も古い戦闘車両である。防護も、ゴルフカートのようなデザートクロス1000-3全地形対応車に比べれば多少はましという程度だ。BTR-50で突撃しているところをウクライナ軍の対戦車ミサイル部隊に見つけられるというのは、老朽化した70年物の車両の乗員や兵員にとって非常にまずい事態になるだけではない。それは、ロシアの戦争努力全体にとってもゆゆしい問題があらわになるということでもある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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